【岡義朗氏の眼】阪神のいい面と悪い面の両方が詰まった試合

 「阪神4-6ソフトバンク」(17日、甲子園球場)

 阪神は1点リードの九回2死から逆転負けを喫し、1試合を残して交流戦の負け越しが決定した。2位・DeNAとのゲーム差が3に縮まった中、デイリースポーツ評論家・岡義朗氏は「いい面、悪い面が詰まったサンプルのような試合」と指摘した。

  ◇  ◇

 阪神にとってはいい面、悪い面の両方が詰まったサンプルのような試合だった。前半は阪神が主導権を握り、後半はソフトバンク。空気の流れを変えたのは、やはり“ミス”だろう。

 先制点は二回1死一、三塁から坂本のセーフティースクイズで奪ったものだ。前打者・前川が三振したことで坂本への重圧は倍増したと思うが、このベンチからのサインがそれを軽くしたはず。外野へ飛ばすよりははるかに楽だからだ。内野は併殺シフト。教科書通りに投手と一塁手の間へ転がし、自分も生きる“一打”になった。

 ベンチと選手の「息の合った作戦」とでも言おうか。見え見えのスクイズかもしれないが、打者の能力や特性を生かした上での選択。だからこそ成功したのだろう。

 同じことを感じたのは四回2死満塁から近本が右前へ2点適時打を放った場面。直前で打席に立った投手の大竹には何の色気も持たず、三振させている。“近本に任せる”というベンチの意図を近本自身、しっかりと感じ取ったように思えた。

 ここまではいい流れだった。しかし、負け試合には必ず理由がある。七回、及川が浴びた2ランは簡単に2死を取ったあとの四球が引き金になった。失点パターンとしては最悪と言える。

 八回無死二塁では小野寺が送りバントを失敗した。やるべきことをやっておかないと、負の流れを引き込んでしまうものだ。

 ゲームにおける流れは大事。これは目に見えない。なぜならメンタルな性質をもっているからだ。ミスは不安をあおり、新たなミスを呼ぶ。だから防げるミスは可能な限り防ぎたい。

 成長と反省は常に一対だが、手にした反省材料はすべて肥やしにして、さらに力をつけていってほしい。

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