“自信の芽生え”阪神・大竹 セトップの防御率1・13の好調要因は「質のいいストレート」
今季から現役ドラフトで阪神に加入した大竹耕太郎投手(27)はここまで10試合に先発し、6勝1敗、セ・リーグトップの防御率1・13と抜群の成績を残している。投球の46・6%を占める直球が活躍のポイントと明かす左腕。「去年より質がいい」と球質の向上も実感するが、気持ちの面の変化が自信の芽生えに直結した。“攻めの大竹”が、ブレークの理由だ。(データはJapan Baseball Data)
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内外のコーナーをきっちり突いてカウントを作り、時には決め球として直球勝負を展開する。今季、大竹はストレートの手応えを深めており、これが好調の要因となっていた。
「(得意球に)チェンジアップがある中で、しっかりストレートで相手を打ち取れている。直球ありきのチェンジアップ。去年よりは、質のいいストレートが投げられているので、変化球も効いているのかなと思います」
心境の変化も大きかった。これまでは、カウントが悪くなった時に、直球を投じることへの「不安」があったと明かす大竹。それにより、変化球に頼って痛打されるケースもあった。今季はカウントが悪い状況でも臆することなく、ストレートを投げ込めている。
「自分の中で勘違いをしている部分が大きかったので。そこをもっと客観的に見られるようになった。変化球なら、どうにかなるんじゃないかというような脳みそだったので」
実際、直球の全体被打率で見ると・265と完璧に抑えているわけではない。ただ「これで大丈夫かなと不安に思いながら投げているのか、これで大丈夫って思いながら投げている差がある」と気持ちの部分の変化が、思い切り勝負できる自信にもつながっている。
直球&多彩な変化球での緩急を生かし、的を絞らせない投球スタイル。チェンジアップの全体被打率は・125と相手打線を手玉に取っている。「どの相手も(大竹=)チェンジアップというイメージはあると思う」。相手の警戒をかわすためにも、直球主体の投球が有効になっていた。
3勝0敗、月間防御率0・33で5月の月間MVPを獲得。受賞会見では「速い球を投げなくてもいいことが、気持ちの面でも楽」とも話していた。ソフトバンク時代はスピードガンを追い求めた時期もあったが、その回り道をしたからこそ「脱力」する大切さに気づくことができた。
「逃げたら打たれる」と左腕は語気を強める。弱気だった昨年までの自分とは違う。チームの勝ち頭が、攻めの投球を貫いていく。(デイリースポーツ阪神担当・関谷文哉)