阪神・前川 5連敗の虎を救ったプロ初猛打賞 20歳笑顔の初お立ち台「結果が出たのはやっぱうれしい」
「阪神11-3中日」(27日、甲子園球場)
若虎の躍動で阪神が1試合で首位に返り咲いた。「3番・右翼」で先発出場した2年目の前川右京外野手(20)が甲子園初タイムリーを含むプロ初の3安打猛打賞をマーク。12安打11得点と爆発した打線をけん引し、連敗を5で止めた。DeNAが敗れたため、首位奪還に成功。虎党の後押しも受け、聖地から再進撃を目指す。
Hランプを三度ともして連敗脱出に貢献し、秘めたる力が本物であることを証明した。3番に座った前川がプロ初の猛打賞。3本目の安打を放つと、誇らしげに右腕をベンチへ向けつつ、「結果が出たのはやっぱうれしいです。もっとどうやって一人一人を打っていくかを考えたい」と満足することなく向上心を燃やした。
まずはビッグイニングとなった三回だ。中野の二盗で2死二塁と局面が変わった直後、柳のスライダーを捉えて甲子園初適時打をマーク。チームに3点目をもたらした。五回は先頭で中越え三塁打を放ってチャンスメークし、力強く両腕でガッツポーズを決めた。
六回無死一塁では左腕の福と相対。「久しぶりの左ピッチャーとの対戦。どこか壁を作って打とう」と意識し、最後は右手一本で中前へ運んだ。「片手でうまく拾えました」と納得の技あり打で、バックスクリーンに「猛打賞」の文字を躍らせた。
春季キャンプ、1軍スタートが確定していたが直前に左上肢コンディショニング不良で2軍行き。悔しさをかみしめ汗を流す具志川で、意外な訪問者から励ましを受けた。智弁学園で共に21年夏の甲子園で準優勝し、今も家族ぐるみで親交がある小畠一心さん(現立大2年)の祖父母だ。「2軍で落ち込んでると思ったので」と実の孫に向けるような視線で、練習を見守った。
「年末に泊まりに行かせてもらったり、ずっと仲良くさせてもらってるんで」と感謝した前川は、激励のお礼に赤の打撃グローブをプレゼント。「一心も大学でプロを目指して頑張ってる。アイツの取り組み方なら絶対来られると思う」。親友から受ける刺激も糧にプロのステージで成長を続けて、5連敗を止める立役者となった。
初のお立ち台では、この日が誕生日の兄・夏輝さんを祝福。試合前にもお祝いメッセージを送ったところ、「おまえが野球してる姿を見てるだけで幸せ」と返信があったという。若虎の大活躍もあってチームは首位返り咲き。仲間、家族、虎党からの愛を一身に受けて、背番号58はますます輝きを増す。