阪神・大山“天まで届けた”逆転V弾 追悼試合で「ヨコが運んでくれた」感情あらわヘルメット掲げた 

 6回、菅野から逆転2ランを放つ大山(撮影・飯室逸平)
 6回、逆転2ラン放った大山(3)は天に向かってヘルメットを掲げる
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 「阪神タイガース4-2読売ジャイアンツ」(25日、甲子園球場)

 ヨコ、見てくれたか-。阪神・大山悠輔内野手(28)が六回に決勝の逆転11号2ラン。2連勝での堅首へ導いた。18日に脳腫瘍のため28歳で逝去した元阪神・横田慎太郎さんの追悼試合。普段は感情を表現しない主砲は、ベンチに戻るとヘルメットを夜空に掲げ、天国に旅立ったチームメートを哀悼した。

 心地よい夜風が優しく頬に触れる。澄み切った空の上からは、黄色く彩られた甲子園がきっとよく見えたはずだ。ヨコ、ありがとう-。仲間にささげる逆転の11号2ラン。大山はハイタッチを終えると、ベンチで天にヘルメットを掲げた。

 「レフトフライかなという感じもありましたけど、あそこまで伸びてくれたのは、ヨコ(横田さん)があそこまで運んでくれた」

 1点ビハインドの六回1死一塁。カウント2-2から菅野の低めフォークをすくい上げた。打球は天に向かって高々と舞い上がり、左翼席へ。虎党の大歓声を浴びながらダイヤモンドを1周すると、日頃は感情をあらわにすることが少ない男が、祈りを届けた。

 相手先発・菅野に対し、第1打席では7球粘って四球。第2打席は二ゴロに倒れたが、8球を投じさせた。「自分の中のテーマとして、ボール球を我慢というところは1年間通してやっていきたい。そういう意味では良い打席だった」。粘り強く見極める姿勢が最高の結果へと結実した。

 1本では終わらない。七回2死一、三塁は追加点を奪う左前適時打をマーク。「やっぱり何点あっても良いと思いますし、その次の1点、その次の1点というふうにチームとしてもやっていく必要がある」とうなずいた。

 守備でも存在感を際立たせた。勝ち越しを許した直後、五回1死一、二塁では大城卓が放った一、二塁間へのゴロを逆シングルで捕球し、二塁へ送球。3-6-1の併殺を完成させて傷口を最小限にとどめた。

 18日に逝去した元阪神・横田慎太郎さんの追悼試合として行われた大切な一戦。「一緒にグラウンドで野球をやる期間は短かったですけど、寮生活で『大山さん、大山さん』と近づいてきてくれた。そういうのを思い出しました。今野球をやっているのは当たり前じゃないんだと」。大山はゆっくりと言葉を紡いだ。

 特別な試合で連勝を飾り、これで貯金は12。「こういう試合を増やして行かないとダメだと思うので、チーム一丸となって頑張りたい」。大好きな野球を全力で。横田さんのことを愛する仲間たちとともに、秋に笑おう。

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