【谷佳知氏の眼】(森下)成長には指導者のうまさ感じる

 「阪神タイガース7-2広島東洋カープ」(28日、甲子園球場)

 阪神ドラフト1位の森下翔太外野手(22)が広島との首位攻防第1ラウンドで、プロ初の猛打賞となる4安打の大暴れ、首位返り咲きに貢献した。デイリースポーツ評論家・谷佳知氏は2、3打席目に着目しつつ「まさに理想の形」と絶賛だ。

  ◇  ◇

 森下の打席内容の変化には成長を感じる。4安打も素晴らしいが特筆すべきは2、3打席目。三回は7球のうち5球が内角球。かなり内を意識させられた中でチェンジアップを右に運んだ。これまでなら体が開くケース。「経験と粘り」が凝縮された1本だった。

 「配球を読む」という表現があるが、野球はだまし合いのスポーツ。バッチリ合うことは珍しい。その中でどれだけ体を開かないで、バットをボールにぶつけられるか。それが「粘り」。詰まりながら内角球を左前に運んだ五回の打席は、まさに理想の形と言える。

 要因はプロの投手のキレ、軌道に慣れてきたこともあるだろう。ただ、これだけの変化、成長には岡田監督ら指導者のうまさを感じる。4本目も含めて全て打席に内容があった。なかなか3番を固定できなかった阪神だが、彼がこのままハマれば4番の大山、5番の佐藤輝と中軸に厚みが増す。この打撃ができれば優勝に向け、大きな存在になりそうだ。

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