阪神・前川 3三振の涙から一夜、再出発の14打席ぶり安打 「安心したという気持ちが一番」
「阪神タイガース2-2広島東洋カープ」(29日、甲子園球場)
白球の行方を確認すると、阪神・前川右京外野手(20)は激しく吠えた。笑みはない。涙の後に見せた鬼気迫る表情。20歳の若虎はまた1つ、強くなった。「安心したという気持ちが一番です」。激戦の試合後、ようやくホッと一息ついた。再出発となる14打席ぶりの「H」マークした。
「昨日、あんな形で終わってしまったので、なんとか打てたのでよかったです」
四回、先頭で打席に立つと2-2から5球目。好投手・森下の139キロ、カットボールを狙った。コースに逆らわず、振り抜いた打球が左前で跳ねる。15日の中日戦(甲子園)以来、後半戦初安打が生まれた。六、八回は四球。3出塁と結果を残した。
「もっと強くならないといけない」。前夜28日の広島戦だ。3打席連続三振で途中交代。ベンチに戻ると涙が止まらなかった。岡田監督は「泣いてたらアカンやろ」と言いながら、すぐに挽回のチャンスを与えた。将の思いにも結果で応えた。「また明日から頑張りたい」と前川。涙を力に、再出発の1本を自信に変え、一流へと続く階段を駆け上がる。