「横浜ＤｅＮＡベイスターズ２－３阪神タイガース」（６日、横浜スタジアム）

　積み重ねてきた快音が節目の数字に到達した。球団史上３人目となるルーキーイヤーから５年連続の１００安打達成。怒とうの４安打固め打ちから一夜明け、阪神・近本のバットはこの日も熱かった。

　１点リードの三回。１死走者なしでの第２打席を迎えた。追い込まれながらもファウルで粘り左腕・石田が投じた６球目、低めの直球に反応。うまくバットを合わせ、左前へ運び、連続試合安打を１２に伸ばした。

　この一打で大先輩の吉田義男以来６６年ぶりの快挙も成し遂げた。「特に思うことはないですけど。１００本目を打てた」。試合後、通過点に過ぎない数字にはあまり興味を示さなかったが、チームの勝利に表情が緩んだ。

　個人の記録よりもチームとして勝つことを最重要視する選手会長。ただ、１年だけでは達成できない記録についてはもちろん意識している。試合に出続けないと生まれない連続記録。これまでにも、多くの個人タイトルを獲得してきたが「１年だけ結果を残しても意味がない、２年、３年と続けて出すことが大事」と継続することの大切さを語っていた。

　切り込み隊長としての仕事は、とにかく塁に出ることだ。「６イニングで３打席目が回ってくる。僕の中では大事な試合の流れだと思っている。そこで結果的に二塁打でしたけど、塁に出られたっていうのが大きかった」。先頭で迎えた１点リードの六回には右翼線へ二塁打を放ち、貴重な追加点へとつなげた。

　好調な打撃で、チームにも勢いを呼び込んでいる。右肋骨骨折から復帰して以降、１０勝３敗１分けと再加速。自身も８月は２７打数１１安打で月間打率を・４０７とした。「接戦もありましたし、逆転もあったし、チームとしては勝てたんでよかった」と近本。虎の韋駄天（いだてん）が躍動し、さらに勢いを加速させる。