「読売ジャイアンツ６－７阪神タイガース」（８日、東京ドーム）

　“因縁の地”に戻って来ても阪神・近本光司外野手（２８）の打棒が変わることはなかった。三回、西純の中前適時打で１点を加え、３－０で迎えた打席だった。２死一、二塁でマウンドには降板した先発・菅野に代わり、２番手・今村が上がった。「フォークで空振りを取るんやろうなと思った」。近本の読み勝ちだった。カウント１－１からの３球目、１３１キロの外角低めのフォークを巧みに拾うと打球は右中間を切り裂き、２者が生還した。

　今季最長を更新する１３試合連続安打を放った背番号５は、俊足を駆って悠々と三塁に到達した。リーグトップの岡林に並ぶ今季９本目の三塁打だが、「特にそれはあんまり意識しないです」と関心は示さなかった。

　先月２日に高梨から初球を右脇腹付近に死球を受け、右肋骨骨折を負って以来の東京ドームだった。先頭で迎えた八回の打席ではその高梨と対峙（たいじ）した。

　阪神ファンの怒号と巨人ファンの声援が入り交じる異様な雰囲気の中、投じられた注目の初球。「どういう球種を投げてくるのか見たかったので、決めていた」と近本は打席を外した。真ん中付近へのスライダーだった。結果は７球目で遊ゴロに打ち取られた。遺恨などはもう残っていない。これからも黙々と安打を量産し続けるだけだ。