阪神・近本 痛快G3連倒弾「東京ドームやったんで」 もう今季巨人戦勝率5割以上確定 7連勝で2位・広島と5・5差
「読売ジャイアンツ2-5阪神タイガース」(10日、東京ドーム)
痛快な7連勝だ。阪神は1点を追う七回に同点とし、近本光司外野手(28)が右翼へ勝ち越し6号2ランを放った。確信歩きの完璧なアーチで2試合連続逆転勝ち。今季初めて東京ドームで巨人に3連勝し、早くも今季の対巨人5割以上も確定。2位・広島とのゲーム差も5・5差に広げるなど、長期ロードで勢いが加速している岡田阪神が18年ぶりの“アレ”へまた一歩、前進した。
両手に残った手応えを味わうように、近本はバットを天に向けて突き上げた。高く舞い上がった打球を目で追いながら、本塁打を確信したように、ゆっくりと歩み出した。白球は巨人ファンの悲鳴に吸い込まれるように右翼席に消えていった。
「東京ドームやったんで。甲子園やったら…残念でしたね。良かったです」
謙遜とユーモアを交えながら、劇的な決勝弾を振り返った。
1点を追う七回、同点に追い付き、2死一塁の場面で打席に入った。カウント2-2からの5球目。「狙ってましたね」と148キロの内角直球を捉えた。
配球を読み切っていた。五回の第3打席ではカーブを右前にはじき返していた。迎えた第4打席ではスライダーと直球で1-2と追い込まれながら4球目のフォークを見極めた。「真っすぐで(勝負に)きたいのかなとか、いろいろ考えながら」。この時点でほぼ、勝負は決まっていた。
7月末に右肋骨の骨折から復帰し、8月に入ると打率・366(41打数15安打)と安打を量産し続ける。その陰で“恐怖”とも闘い続けている。「打つのは難しいですけど、打てなくなるのは簡単だなと思う」と口にすることがある。3、4打席に1本放っていた安打が、相手の好守に阻まれることもある。そんな巡り合わせが少し狂うだけで快音が消えてしまう。そんな恐れも感じている。試合が始まる15分ほど前にベンチ裏で行っている素振り。日々のルーティンの瞬間が「一番しんどくて、一番ストレスがかかる」と明かす。事もなげに安打を飛ばす裏で、人知れず“闘い”は続いている。
今季最長となる15試合連続安打も記録。昨年まで打ちあぐねていた戸郷に対し、今季は打率・444(18打数8安打)2本塁打。苦手を克服したが、数字に関しては「特にそこはあんまり、何とも言えないです」といつものように冷静だった。
今季3度目の7連勝で、貯金も今季最多21とした。両軍が1936年当時の復刻ユニホームを着用した「伝統の一戦」シリーズで今季6連勝。2位・広島が大敗したため、ゲーム差も5・5に開いた。夏のロードを8勝1敗と突っ走る。猛虎を先導するのは、紛れもなく近本だ。