阪神・野口 “構えの構え”減らして変身 8月2軍で4本塁打 支配下目指す若虎好調の要因は?
阪神のファームを特集する企画「熱鳴-鳴尾浜情報-」。第5回は育成・野口恭佑外野手(23)の“現在地”をお届けする。1年目の今季、ウエスタン・リーグでは46試合に出場、打率・293(123打数36安打)、5本塁打、14打点をマーク(28日現在)。特に8月に入ってからは4本塁打と好調だ。その要因となっているのが「構える際のわずかな変化」と北川2軍打撃コーチと取り組む「軸足への意識」。支配下を目指し、日々奮闘を続けている。
支配下を目指し、着実に成長を遂げている。和田2軍監督も「打撃だけなら十分、(背番号)2桁を付けられるものは持っている」と野口の潜在能力の高さに太鼓判を押す。
特に8月に入ってからは4本塁打を放つなど好調。その1番の要因を「構えのバランスがいい」と明かす。これまでは肩の高さで両腕をピンと伸ばし、最終的な構えの位置に入っていたが、7月末の練習でその動作をやめた。最初から最終的な構えの位置にしてみたところ好感触。8月4、5日のオリックス戦(ほっと神戸)で2戦連発を放つなど「球もよく見えてるし、タイミングも取りやすい。力まず打てている」とばっちりはまった。
本塁打が増えたのは大学4年時。大学3年時の冬、遊び感覚で耳の高さだったグリップの位置を肩付近にまで下げたことがきっかけだった。「ラインで打てる(ボールの軌道にバットを入れる)」といい、インパクト時に衝突の力が増したことで長打につながった。
テレビ番組でヤクルト・村上がグリップの位置を下げたことで三冠王になった話も耳にした。「やっぱり構え下げたんだって。正解なのかなと思いました」。それからより意識し今も継続している。
8月の4本塁打は、全てファーストストライクを一振りで仕留めたもの。北川2軍打撃コーチは「タイミングの取り方がうまい」と評価する。ただ、それは下半身をしっかり使えている時。疲れが出てくると上半身で打つ傾向があるという。
そこで北川コーチは軸足の右足を使うことを助言。軸足に乗る感覚を得るため、野口は試合前練習で3歩ほど歩いてから打つティー打撃も行っている。「(軸足を)意識し始めてからボール球を振ることが減った」。構えのバランスに加え、タイミングが取りやすくなり、ボールも見極めやすくなった。課題は体力面で「試合に出てつけるしかない」。8月はここまで全17試合(練習試合1試合)に出場。スタミナも着実に強化されている。
今季中の支配下登録を目指していた。九産大の同級生でチームメートだった広島育成の中村貴が5月に支配下登録されたことにも刺激を受けた。7月6日のウエスタン・ソフトバンク戦(タマスタ筑後)では“プロ1号”も放つなど、同月末の登録期限に向けてアピールしたが、支配下登録は見送られた。それでもその悔しさをバネにさらに状態を上げてきた。「残りのシーズン、けがなく終わることを目標に」。今オフに必ず2桁背番号を勝ちとるため、鍛錬を積み重ねていく。
◆野口 恭佑(のぐち・きょうすけ)2000年7月17日生まれ、23歳。長崎県出身。180センチ、88キロ。右投げ右打ち。外野手。創成館、九産大を経て22年度育成ドラフト1位で阪神入団。今季ウエスタンでは46試合で打率.293、5本塁打、14打点。推しの芸能人はTWICEのジヒョ。