阪神の岡田彰布監督（６５）が４日、東京駅で取材に応じ、３日のヤクルト戦（神宮）で右脇腹付近に死球を受けて途中交代した近本光司外野手（２８）について、打撲だったことを明かした。出場選手登録抹消はせず、５日からの中日２連戦（バンテリン）に帯同させるが、試合には起用しない方針を示した。一方で、一夜明けてもヤクルトに対する怒りは収まってはいなかった。

　恐れていた最悪の事態は免れた。近本はこの日、東京都内で検査を受けたが、危惧されていた骨折などではなかった。岡田監督は東京駅構内を歩きながら「打撲やって。（大事に至らず）よかったよ。本人が一番ホッとしとるやろ」と重傷ではないことを強調し、胸をなで下ろした。

　近本はヤクルト戦の九回、左腕・山本が投じた内角球が右脇腹付近を直撃し、途中交代した。試合後には「何ともないです」と気丈に振る舞っていたが、７月にも同様の箇所に死球を受け、右肋骨骨折で１１試合を欠場していた。指揮官は「（前回とは）ちょっと（患部が）ずれているみたいや」と説明。登録抹消は行わずに回復を待つ方針で、長期離脱は避けられそうだ。治療もあって名古屋遠征には帯同するが、「名古屋はあかんやろうな。無理せんでええよ、まだ先は長いんやから」と語り、５日からの中日２連戦は欠場させることを示唆した。

　近本の検査結果に安堵（あんど）しながらも、ヤクルトに対する憤りは一夜明けても収まっていなかった。「山本の持ち球がシュートだったので」という高津監督の釈明を引き合いに、「シュートピッチャーやったら当ててええんか。ピッチャー（出身）監督の発想なんやな。自分らは当てる方やもん。野手はそういう（当てられる）痛みが分かるからの。そのへんの感覚の違いなんやろな」と、舌鋒（ぜっぽう）鋭く持論を展開した。

　近本の復帰時期については「それは分からん」と言葉を濁した。今後は絶対的な存在だった「１番・中堅」の起用法に注目が集まるが、虎将は「１番（打者）が日替わりになるかも分からん」と言及し、相手の先発投手によって使い分けていく考えを示した。

　７月上旬の近本不在時には中野が１試合、島田が２試合、森下が８試合で１番を務めた。２日のヤクルト戦で３番に起用され、適時三塁打を放った小野寺も選択肢に含まれるかもしれない。“近本抜き”の窮地でも、総力戦で「１５」としている優勝マジックを減らしていく。