阪神が18年ぶり6度目の「アレ」達成!岡田監督が6度舞う「きょう絶対に決めよう」05年と同じ本拠地の巨人戦で歓喜
「阪神タイガース4-3読売ジャイアンツ」(14日、甲子園球場)
阪神が9月負けなしの11連勝で2005年以来、18年ぶり6度目となる「アレ」を決めた。2003年の9月15日を1日上回る球団史上最速でのVを達成。さらにはセ全球団に勝ち越した上での完全優勝と歴史的なシーズンとなった。
今季、12球団最多となる4万2648人のファンが甲子園に詰めかけ、マジック1で迎えた巨人戦。先発の才木が踏ん張ると、六回に大山の犠飛、佐藤輝の20号2ランで一挙3点を先制した。岡本和の一発で1点を返されたが、すぐさま敵失で1点を奪いかえした。才木は7回1失点と役割を果たし、八回は岩貞が1点を失いピンチを招くも、石井&島本が好リリーフ。最後は守護神・岩崎が1点差に迫られながらも締めて、2005年と同じ甲子園の巨人戦で歓喜の瞬間を迎えた。
岡田監督はゆっくりとマウンドへ歩みを進めると、笑顔で選手達に身を預けた。岡田コールがスタンドから降り注ぐ中、6回、宙を舞った。さらに横田慎太郎さんの背番号24のユニホームを手に持った岩崎も胴上げされ、宙を舞った。
優勝インタビューでは「きょう絶対に決めよう」と選手に伝えたことを明かした。「勝負は9月と言い続けたけど、こんなに強くなると思わなかった。勝ちすぎましたね。これは選手が力をつけて、チームができた。選手のおかげと思います」と語った。
2008年以来、15年ぶりにタテジマのユニホームを身にまとった岡田監督に導かれ、選手たちが躍動した今季。就任直後にポジション固定の方針を打ち出し、中野の二塁など大胆なコンバートで適材適所に選手を配置した。「このチームは大山を4番にせなアカン」と久々に戻った古巣の空気を敏感に感じ取り、評論家としてネット裏から描いていた固定観念を振りはらってチームを動かした。
65歳となっての指揮。大きすぎる周囲の期待に不安がないわけでなかった。それでもDeNAとの開幕3連戦で3連勝を収めると勢いに乗った。先発陣の柱だった青柳、西勇の不振、守護神に起用した湯浅の離脱。それでも村上、大竹が頭角を現し、岩崎がストッパーとして獅子奮迅の働きを見せた。
「悪いことから考えた方が楽やん。対処できるから」と常に最悪を想定して物事を準備してきた指揮官。「このチームはまだまだ強くなるよ」という春先の予言がピタリとハマった8月は2桁の貯金を作り、9月は負けなしの11連勝。成熟してきたチームは懸命に粘っていた2位・広島を突き放した。
前回優勝時の2005年以降、何度も優勝のチャンスがありながら逃してきた。岡田監督第一次政権の2008年は巨人に大逆転を食らってV逸し、指揮官は自ら身を引いた。2021年も序盤で快進撃を見せながら失速。ファンは「秋の風物詩」と言いながらも、決して応援することはやめなかった。
この日を待ち望んでいた阪神ファン。そして7月に28歳の若さで急逝した球団OB・横田慎太郎さんにささげる18年ぶりの優勝。チーム、ファン、そして支えてくれた人とたちが心から喜び合える瞬間が到来した。