阪神・梅野 悪夢の骨折から1カ月、歓喜の輪に 「みんなが勝ってくれたおかげで優勝…誇りに思う」

 「阪神タイガース4-3読売ジャイアンツ」(14日、甲子園球場)

 数々の名場面が脳裏に焼き付く中、虎党が一番思い出したくないシーンだろう。8月13日・ヤクルト戦(京セラ)、死球を受けた阪神・梅野隆太郎捕手(32)が苦悶の表情で倒れ込む。左尺骨の骨折だった。

 岡田監督からは正捕手に指名され、「リーダーとして戦っていく姿勢が大事」と野手最年長で迎えたプロ10年目。開幕戦ではチーム今季1点目をもたらす適時打を放った。だがその後、打撃が低迷。好機に倒れて黒星を喫すると、「俺の責任」と沈痛さをにじませることもあった。

 夏前には調子のバロメーターの一つである右方向の打球も増えて、復調気配。迎えた勝負の夏場に悲劇に見舞われた。鳴尾浜で復帰を目指す日々。それでも梅野は“初心”を忘れることはなかった。

 ギプスで固めた左手をつりながらでも、ファンからのサインの求めに対応。「1軍にいるとなかなか機会がないからね」と右手でペンを走らせた。常に胸に刻んでいるファンファーストの精神を体現していた。

 チームの計らいで歓喜の輪に加わった。「今日の一日は忘れられない一日。みんなが勝ってくれたおかげで優勝できたことが誇りに思う」と喜びをかみしめた。もう左腕にギプスはない。「戻るだけじゃなくしっかり準備したい。CS、日本シリーズにつながっていく」。復帰をあきらめることなく、一歩ずつ前へ進む。

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