守り勝った岡田阪神 俊敏性の中野と強肩の木浪で併殺奪取数アップ 外野守備にも通じた「低い送球」

 強肩の木浪
 俊敏性が持ち味の中野
2枚

 阪神が18年ぶり6度目のリーグ制覇を達成した。今季から2度目の指揮を執る岡田彰布監督(65)の目指す野球が浸透し、2位以下を大きく引き離してゴールテープを切った。岡田野球を6回にわたってひもといていく。第2回は守備編。

  ◇  ◇

 守備を重視する「岡田野球」を象徴したのが木浪と中野の二遊間だった。岡田監督は新人時代から2年間、正遊撃手に定着し、昨季はベストナインにも輝いた中野を二塁にコンバート。遊撃は開幕時こそ小幡が務めたが、開幕3カード目以降は木浪が中心で担った。

 今季から就任した馬場内野守備走塁コーチは、中野の二塁守備について「守備範囲が広いのが特長」と評する。走者一塁で一、二塁間を抜かれると一気に一、三塁の窮地に陥るが、中野はやや深めの守備位置から機敏な動きで外野へ抜けそうな打球を何度も止めた。

 俊敏性の中野と強肩の木浪で堅固な二遊間を形成したことで、併殺の精度が向上した。併殺奪取数「120」は12球団トップ(16日時点)。リーグ3位だった昨季の「117」を既に上回った。余分な走者を残さず、失点の芽を摘み取ることがリーグ最少失点「383」(※16日時点)にもつながっている。

 印象的だったのは7月16日・中日戦(甲子園)での併殺プレー。八回無死一塁で二遊間のゴロを捕球した中野がバックトス。木浪が二塁を踏んで素早く一塁へ転送し、流れるようにアウト2つを奪った。

 一塁・大山の捕球技術も一役買っている。ショートバウンドの送球を巧みにさばく姿は目を見張るものがある。馬場コーチは「うまいよね。無難にこなしてくれている」と感謝しつつ「(送球を)低く投げれば、そうやってカバーできるチャンスがある」と指摘。記録には残らないが、貢献度は計り知れない。

 「低い送球」の重要性は外野守備にも通じる。今季は外野からカットマンへの送球を徹底。8月8日の巨人戦(東京ド)では八回無死一、二塁から左中間二塁打を浴びたが、近本、木浪とつないで一走の生還を阻止した。

 記録に残る好守だけでなく、記録に残らない好守も数多くあった。昨秋から細部を突き詰めてきた「守り勝つ野球」が、岡田監督の就任1年目で早くも結実した。

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