阪神・才木に感動 柳と壮絶投手戦!!志願の延長十回150キロ連発!!「期待に応える投球できた」
「中日ドラゴンズ0-0阪神タイガース」(24日、バンテリンドーム)
気迫に満ちた130球で、見る者すべてを魅了した。先発した阪神・才木浩人投手(24)が自己最長の10回を投げ抜き、5安打7奪三振無失点の熱投。チームが延長十二回で0-0で引き分けた中、自身9勝目は逃したが、10月18日から始まるCSファイナルSでの先発登板に向けて、存在をアピールした。
今季最多の130球を投げ終えても、才木はまだヘルメットをかぶった。自身初の2桁勝利への望みをなんとしてもつなげたい-。魂の熱投は報われなかったが、試合後の表情は充実感に満ちあふれていた。
「ドンマイです(笑)。(白星は)運なので本当に」
志願して登板した延長十回2死一、二塁。最後は村松に3球連続直球を投じて三飛に打ち取った。自身初の10イニング目を迎えてもなお、150キロ越えを計測。白星への執念をマウンドで体現した。「『もう一回行け』って言ってもらえたのはありがたかった」といけるところまでマウンドを託してくれた首脳陣に感謝。「期待に応える投球はできたかな」と笑みをこぼした。
圧巻だった。初回1死で大島に右前打を許すも、以降は五回2死で木下に中前打を浴びるまで1人の走者も出さず。六回からは毎回走者を背負うも、最後までホームは踏ませなかった。
快投の裏には改良あり。得意球のフォークに手を加えた。これまでのフォークは135キロ以下を記録することが多かったが、この日は140キロを頻繁に計測し、明らかに高速化。地面にたたきつける場面も少なく、いつもより鋭く落ちた。
「前までは腕を振り切るイメージで投げていたけど、今は抜き切るイメージ」と鍵となったのは脱力。五回までに奪った5つの空振り三振の決め球は全てフォークだった。中日打線の反応はベルト付近の高さは打ち上げ、膝の高さにくると空振り。場内の球速表示が“進化”を訴えていた。
優勝も決まり、自らにフォーカスできるボーナスタイムを有効活用した。10回5安打無失点、7奪三振。「いい感触で投げられた」とCSファイナルSでの出番もたぐり寄せた好投の中で、さらなる成長の糧を手にした。
「CSとかに向けてもいい感じに入れる」。シーズン終盤で覚醒した才木が、日本一達成への大きなピースとなる。
◆阪神先発投手の延長回登板 阪神先発投手で延長回まで投げた選手は2022年5月6日・中日戦(バンテリンドーム)での青柳以来。この時の青柳は9回1/3を1失点でサヨナラ負けを喫して負け投手。相手先発・大野雄が10回無失点の完封勝利だった。延長十回まで投げきった投手では、安藤優也(現投手コーチ)が05年7月17日・広島戦(甲子園)で延長十回に決勝点を許し延長十回完投負け。また、藤浪晋太郎は15年5月27日・楽天戦(甲子園)で10回無失点も勝敗なし。なお、試合結果は延長十一回サヨナラ勝利だった。