阪神の岡田彰布像 記憶力抜群で物知り 堅実&きれいで完璧な野球 元チームメート佐野仙好氏が回想

 阪神の外野手として活躍した佐野仙好さん
「バックスクリーン3連発」3本目の本塁打を放った岡田(右)を迎える佐野=1985年4月17日、甲子園
(左から)岡田彰布、掛布雅之、佐野仙好
3枚

 1985年阪神日本一のメンバーで現在、母校・前橋工のコーチをしている佐野仙好さん(72)が、リーグ優勝を決めた阪神・岡田彰布監督に対する“野球人”としての印象を語った。

 佐野さんは2020年を最後に球団を離れ、現在は郷里の群馬に拠点を移して、出身校の前橋工でコーチ指導をしている。学生野球資格回復を経て昨年夏前に着任。「週2、3回顔を出す程度ですが、楽しくやってます」と話す。

 タイガースの試合はずっと見ている。16年の現役生活後はコーチ業を挟み、アマスカウト部門を長く務めたことで選手の活躍は気になる。また同じ日本一メンバーでもある岡田監督の采配にも注目していた。だから喜びもひとしおだ。

 岡田監督とは現役時代から行動を共にすることが多かったという。

 「よく飲みに行ったし、ゴルフもよくやりました。マージャンも少しね」

 飲みに出ると必ず野球の話になった。技術論もさることながら、戦術論になると一層力が入った。どうすれば試合に勝てるか。相手を上回るか。すべてそこに収斂されていく。

 「現役のころからいつも野球の話をしていましたね。自分の体験の中から得た考えで、信念をもって話していた。すごく現実派で堅実な野球ですよ。1点が欲しい時はバントで確実に取りにいくが、ゲームの流れを見ながら場面に応じて攻撃方法や守備隊形も変えたりする。“勝つ野球”には昔から興味をもっているようでしたね」

 ゴルフクラブを握っても、「キチっと型にハマるような理にかなったスイング」にこだわったようだ。

 ジャンルはまったく違うが、マージャンにもその傾向は見られたという。

 「役を大事にして手作りを楽しむようなきれいなマージャンでしたね。楽観的な行け行けタイプではなかった」

 “役”とは手牌の組み合わせにより成立するもので、型によって価値が異なる。場の流れと先を読む力、経験が必要だ。

 監督采配にも、これらの特長を見ることができる。

 「きれいで完璧な野球は自信がないと、できないですから」

 岡田監督は佐野さんの6歳下だが、それにしても随分早い時期からしっかりした野球観をもっていたものだ。

 現役時代は5番・岡田、6番佐野の打順構成が多かった。そしてこの打順では恩恵も受けた。

 「僕は三遊間へ引っ張る打球が多かったんですが、岡田が一塁ランナーの時はセカンド(ベース)へ行くのが速く(封殺を免れて)よく内野安打になったんですよ。二塁ランナーの時は“絶対に生還してやる”という姿勢で走塁してましたしね」

 佐野仙好が記録した通算安打数1316のうち何本か、通算打点564のうち何打点かは“岡田彰布のお陰”と言えるかもしれない。傑出した脚力の持ち主ではなかったから、逆に走塁への意識の高さを感じていた。

 岡田監督は度々、「普通にやればいいだけやん」という表現を使う。この“普通”が何であるかの一端を知ることのできる好例ではないだろうか。

 広島が阪神を懸命に追走していた夏場、佐野さんはこんな話もしていた。

 「岡田監督は記憶力が非常にいい。これは野球選手に必要な要素ですよ。勝負の世界、優位な立場を保てますから。物知りで“そんなの知らないの?”というタイプだけど、それが強み。こういう監督の性格を選手が知って野球をやれば、強くなると思いますよ」

 その後、阪神は加速を強めてゴールまで一直線。信念に基づく“岡田の考え”がチームに浸透し、優勝した。そう理解するのが自然だろう。佐野さんの読み筋通りだった。

(デイリースポーツ/宮田匡二)

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