阪神・才木 進化した高速フォークで10月のカギ握る 135キロ→140キロ台で落差は維持
18年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神。38年ぶりの日本一への挑戦権、日本シリーズ進出を懸けて18日から「2023 JERA クライマックスシリーズ セ ファイナルステージ」を戦う。ポストシーズンの10月に活躍する選手の代名詞「ミスター・オクトーバー」になるのは誰か。第3回は、虎先発陣屈指の本格派右腕・才木浩人投手(24)を取り上げる。
シーズン最終盤で才木は覚醒した。9勝目を懸けて先発した9月24日・中日戦(バンテリン)で自己最長の10回を投げ抜き、5安打7奪三振無失点。新しく“スパイス”を加えたフォークで相手打者の腰を砕いた。
それまでフォークは135キロに収まるほどの球速だったが、この日は140キロ台を頻繁に計測。今季4度目の対戦で球筋は見慣れているはずであろう中日の各打者は明らかに困惑していた。「なんとなく反応は良い感じがしていた」と手応え十分。意図的に球速を上げた訳ではなかった。
変化を加えたのは腕を振る力感。従来は、たたくイメージで投げていたが「ボールを置き去りにする感覚」と挟んだ白球を抜ききることにフォーカスした。高めに投じると打者は打ち上げ、膝付近に投げれば簡単にバットが空を切る。「(フォークのデータを)見返したら落ち幅にそんなに変わりはなかった」と質は維持しながらも、高速化させることに成功した。
CSファイナルSで対戦の可能性のあるDeNAとは今季3度、広島とは1度対戦。当然、相手に球筋がすり込まれている中だからこそ、“シン・フォーク”が大きな武器となり得るかもしれない。
舞台が甲子園であることも追い風となる。左中間、右中間が広く本塁打が出にくいとされる球場であり、投手が思いきって投げられるのが特徴。「自分は(コースの)高低で投げ分けるタイプ」と縦の空間を使う才木にとっては、より大胆に攻めやすくなるという。
今季の甲子園では8試合に先発して4勝1敗、防御率1・33。好相性のマウンドで改良したフォークが合わされば、まさに鬼に金棒の状態となるはずだ。