阪神の岡田彰布監督（６５）が２３日、オリックスとの日本シリーズ（２８日開幕）で第１戦の先発が予想される山本由伸投手（２５）について「そんなええと思てない。なんで点取れへんのやろなと思てる」と“岡田節”を炸裂させた。６月の交流戦では８回無失点に封じられたが、大一番での攻略に自信を見せた。

　球界最高の剛腕も恐るるに足らずだ。日本シリーズの趨勢（すうせい）を左右する重要な初戦。相手先発として有力視される山本に話が及ぶと、岡田監督は驚きの反応を示した。「そんなええんかなと思てるよ、俺は。はっきり言うてな。毎年あないして勝ってるからええんやろうけど。打たれへんのかなあと思うよな」。史上初となる３年連続「投手４冠」の実績を認めつつも、強烈な先制“口撃”を浴びせた。

　６月１３日の対戦（甲子園）では８回２安打無得点に封じられた。当時は９連戦を終え、移動日を挟んだ６連戦の初戦だった。「あの時はそんなチーム状態もええことないしな、結局は」。山本に敗れ、交流戦のチーム打率は１２球団ワーストの・２０２まで落ち込んだ。「なんで打てへんねやろと思ってた」と、苦い記憶をたぐり寄せつつ首をかしげた。

　攻略の糸口を問われると「そら真っすぐ（狙い）やろ」と力を込めた。日本最高峰の右腕だが、日本シリーズでは不思議と勝ち星に縁がない。２１年は２試合で計１５回２失点と好投しながら未勝利。昨年も第１戦に先発したが、５回途中４失点で敗戦投手となった。付け入る隙はある。「隙がなかっても攻めるよ、そら。なんか探してなあ」。百戦錬磨の虎将は不敵に笑った。

　「山本、山本言うけど、第１戦に投げるピッチャーとしか思うてないよ。５つか６つくらい負けてるんやろ。大竹２つしか負けてないやん。最初から山本やから『はい、打てません』て。そんなんやったら試合やらんといたらええやん。もう棄権するわ、それやったら。バカやん、そんなん」。力強い“岡田節”の数々は、自軍打線への叱咤（しった）のようにも響いた。

　２４、２５日にシート打撃を実施することもあって、この日は打撃練習に時間を割いた。「バッティングは水もんやって言うんや。（練習で）『調子ええです』って言っても、試合で打たんと何にもならんからな」。状態の見極めにいつも以上の熱視線を注いだ。相手投手を過剰に意識することなく、淡々と準備を進めていく。