阪神2位・椎葉は異色の苦労人 昨オフ社会人戦力外も独立Lで急成長 投手キャリア4年で最速159キロ
「プロ野球ドラフト会議」(26日、都内ホテル)
阪神から2位指名を受けた椎葉剛投手(21)=四国ILp・徳島=は、独立リーグから“第2の球児”を目指す。大阪生まれの阪神ファンで、幼少期から藤川球児にあこがれを抱く。昨オフにミキハウスを戦力外となった苦労人。投手としての本格キャリアはわずか4年だが、最速159キロ右腕は無限の可能性を秘める。
大型商業施設2階の従業員研修室という“異例の場所”で、運命の瞬間を迎えた。名前が呼ばれた椎葉は笑顔をはじけさせ、チームメートが拍手喝采。「小さい頃から憧れていた球団なので、すごくうれしい気持ちです」。祝福の嵐が落ち着くと、フーッと大きく息を吐いて安堵(あんど)の表情に変わった。
1年間の急成長でプロの扉を開いた。島原中央(長崎)を卒業後、ミキハウスで本格的に投手としてのキャリアをスタート。だが、公式戦登板1試合のみで思うような結果を残せず、入社3年目の昨オフに戦力外となった。今季から所属の徳島で才能が開花した。
横浜(元DeNA)などでコーチなどを務めた岡本哲司監督(62)のもと、トレーニングを見直して体重は7キロ増えた。今季は22試合3勝0敗1セーブ、防御率2・31。リーグトップの奪三振率11・77が光った。独立リーグ日本一を決める、グランドチャンピオンシップの準々決勝・富山戦では自己最速159キロを計測した。
阪神ファンの父・章さんの影響で、自然と虎党に育った。憧れはレジェンドクローザーの藤川だけに、「第2の藤川と言われるような投手になりたいと思います。火の玉ストレートで。勝ちパターンに入って、セーブ王を取りたいです」と高らかに宣言。160キロ超に期待がかかる直球にさらなる磨きをかけて、甲子園の大観衆を沸かせることになる。
愛する猛虎の印象を、「ファンの方が熱くて、岡田監督もすごいですよね。1年目から圧倒的な強さでリーグ優勝して」と説明。ファンから日本シリーズの勝敗予想を求められると、「全勝で阪神が勝ちます!!」と力強く言い切った。
阪神では独立リーグ出身の投手が実績を積んでいる。湯浅が富山、石井が高知からドラフトにかかり、無名の存在からプロ入り後に全国区となった。「まずは開幕1軍が目標。『椎葉が出てきたら安心』と言われる、絶対的な守護神になりたいです」。“独立の星”として後に続いて、九回のマウンドで輝きを放つ。
◆独立リーグ選手の2位指名は史上最上位タイ 阪神が四国ILp徳島の椎葉剛投手、ロッテが日本海L・大谷輝龍投手を2位指名。独立リーグ選手の2位指名は歴代最上位タイで、2013年に四国ILp香川・又吉克樹投手が中日から2位指名を受けて以来。さらに2選手の2位指名は史上初となった。
【アラカルト】
◆名前 椎葉剛(しいばつよし)
◆生まれ 2002年3月18日生まれ。大阪府出身
◆家族構成 両親、兄2人
◆サイズ 身長183センチ、体重92キロ
◆投打 右投げ右打ち。最速159キロ。球種はスライダー、カーブ、フォーク
◆球歴 小学時代は高倉台ポニーズ、中学時代は富田林ボーイズ。島原中央(長崎)では主に捕手。ミキハウスで投手としてのキャリアを本格スタート。3年目の昨オフに戦力外。今季から四国IL・徳島。
◆足 50メートル走6.8秒
◆遠投 120メートル
◆憧れの選手 藤川球児、現役では山本由伸
◆趣味 釣り。「徳島でも釣りをしたかったんですけど、野球のために封印してました」