「間違った情報が多く流れている」阪神・岡田監督が猛抗議のプレーを元審判員が解説 球審の判定優先?「全くそんなことはありません」
元NPB審判員の坂井遼太郎氏が30日、自身のYouTubeチャンネルを更新。前日29日の日本シリーズで阪神・岡田監督が抗議した判定に関するプレーを審判目線で解説した。
坂井氏は自身のX(旧ツイッター)で「SNSや記事等で、間違った情報が多く流れているように見受けますので」と記し、動画を投稿。14分の動画で詳細に説明している。
問題の場面はオリックスが攻撃していた一回1死一塁、森が放った一塁線のゴロを一塁手・大山が捕球し、3-6-3の併殺に仕留めたかに見えた。球審はフェアを判定した一方、一塁塁審はファウルを宣告。審判団は協議の末にファウルと判定した。そこで岡田監督が猛抗議したが、判定は覆らなかった。
坂井氏はなぜリクエスト対象外なのか、そして、球審と一塁塁審が異なる判定をしたダブルコールになった要因を詳細に説明。ダブルコールになったことは「審判に落ち度がある」としながら、「ベースより前の打球は球審がジャッジするという取り決めで、NPBではやっています。ただ、左打者の場合、打者とかぶるパターンがある。球審はおそらく見にくかった。(一塁塁審は)球審がすぐにジャッジをしなかったから、見にくいんだと機転を利かせて、ファウルとジャッジした」と、推測した。
一方で審判が集まって協議した後、結果的にファウルになったことは正しい措置だったと説明。野球規則8・03(c)を読み、「おそらく、(球審の)市川審判員は正直に見にくかったと言っていると思う。(一塁塁審の)福家審判員のほうが判定の精度が高かったのだろうということで、(責任審判の)嶋田審判員はファウルを採用したのだと思う」とした。
続けて、「一部記事やSNSで、食い違った場合は球審の判定を優先すると書かれていることがあるが、全くそんなことはありません。食い違うことは珍しいことではあるんですが、1年に一回、2年に一回は起こるプレー。今回、レフトの方が責任審判員だったので(協議して)決めた」と語った。
◆公認野球規則の8・03(c)「一つのプレイに対して、2人以上の審判員が裁定を下し、しかもその裁定が食い違っていた場合には、球審は審判員を集めて協議し(監督、プレーヤーをまじえず、審判員だけで)、その結果、通常球審(または、このような場合には球審に代わって解決にあたるようにリーグ会長から選任された審判員)が、最適の位置から見たのはどの審判員であったか、またどの審判員の裁定が正しかったのかなどを参酌して、どの裁定をとるかを決定する。このようにして、決定された裁定は最終のものであり、初めから一つの裁定が下された場合と同様に、試合は続行されなければならない」。