阪神・大山 サヨナラ打 目の前で連続申告敬遠-虎党は4番を信じていた「ファンの歓声が力になりました」

 「SMBC日本シリーズ2023、阪神タイガース4-3オリックス・バファローズ」(1日、甲子園球場)

 「SMBC日本シリーズ2023」第4戦が行われ、阪神が九回、サヨナラ勝ちで対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。試合を決めたのは大山悠輔内野手(28)だ。2者連続申告敬遠で1死満塁となり、4番が意地の一打を左前に放った。負ければオリックスに日本一への王手がかかる一戦で奮起し、チームの激勝を呼んだ。

 甲子園を包み込んだ異様な雰囲気を、4番の意地が歓喜の渦に変えた。2者連続申告敬遠を受けて、打席に向かった大山。「冷静に行こうと思ってたんですけど、ファンの皆さんの歓声が力になりました」。大声援に後押しされた打球が三遊間を抜けると、右手を突き上げながら一塁へ駆けた。日本シリーズでは03年の第4戦以来となる、サヨナラ勝ちで雌雄を決した。

 同点で迎えた九回、ワゲスパックの制球が乱れ、四球と暴投で1死三塁。ここから中野と森下が歩かされ、勝負を挑まれた。連続敬遠は「別に何もないです」と受け止め、「ランナーをかえせば勝ちだったので、それしか考えていませんでした」と責務を胸に刻んだ。

 「力んで失敗してきているので、より冷静にと思って」と打席で白木のバットを構えた。カウント3-0から、見逃しとファウルでフルカウントに。最後は5球続いた直球を仕留めた。「抜けてくれ」-。4万1050人で埋まった聖地の虎党と大山の思いが重なり合ってサヨナラ打となり、「どんな形でも勝ったことが一番。チームみんなでつかみ取りました」と劇的勝利の余韻に浸った。

 「1年間しっかり走り切る。それをやってきた成果が出た」と振り返ったのは、五回1死一、三塁の場面。遊ゴロに全力で一塁を駆け抜けて、併殺崩れで追加点をもぎ取った。大山の代名詞でもある一塁への全力走。凡打でも走り切る。春季キャンプ中に継続を誓った決めごとだ。

 「シーズンが始まったら、ダッシュする機会ってなかなかできないんで。打ったら全力で。それでも1日4回になるので。キレという部分でも大事」。4番でシーズンを全うしても貫いた姿勢。“小さな努力”を積み重ねて、真摯(しんし)に野球と向き合う主砲に勝利の女神が微笑んだ。

 星を五分に戻した。「先のことより、明日の試合を勝つだけ。またチーム一丸で頑張ります」。甲子園で戦う第5戦に向けて示した4番の決意の先に、日本一の栄冠が待つ。

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