昔は多くの指導者が禁止した打ち方 バットのヘッドを投手方向に深く入れる阪神・大山と近本はなぜ打てるのか?評論家が解説

 この構えから、よく打てるなあというファンの声をよく聞く。38年ぶりの日本一を導き、日本シリーズMVPに輝いた阪神・近本と、日本シリーズ第4戦でサヨナラ打を放ち、対戦成績を2勝2敗のタイに戻した大山。両者に共通するのは、バットのヘッドを投手方向に深く入れる打撃フォームだ。

 四半世紀以上前は、多くの少年野球指導者だけでなく、プロの指導者の中にもこの構えをNGとする人はいた。その理由として「振り遅れることが多い。バットが出てこない。バットが遠回りする」といった説明が多かった。付け加えるならば、少年野球においては「まだ筋力が足りてないからバットが振れない」という言葉もあった。

 その代わりに推奨されたのが、バットのヘッドを捕手方向に傾ける始動スタイルで、昨年までの阪神・糸原の構え方と書けばイメージしやすいだろうか。その推奨理由は「バットが遠回りしない。振り遅れることが少ない」という正反対の説明だった。

 ただ、元阪神監督で通算2064安打を放った藤田平氏は、近本らの打ち方はNGではないと語る。「最初に構えた時にバットのヘッドが投手方向にどれだけ深く入っていたとしても問題はない。大事なのは、投球に対してトップを作った時に、その選手の力を最大限に発揮しやすい位置、形になっていればいいんだから」と解説した。

 近年のプロ野球では、ソフトバンク・柳田、DeNA・宮崎など、個性的な打ち方をする選手もいるが、昔に比べるとその数は減ってきているように感じる。一本足打法の王貞治、天秤打法の近藤和彦、神主打法の落合博満や中村紀洋、振り子打法のイチロー、坪井智哉、極端なオープンスタンスだった八重樫幸雄、ガニ股打法の種田仁。令和に名を残す個性的な選手は今後現れるだろうか。

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