阪神・岡田監督 井上のノーステップ打法に「Tもそうやんか。ホームラン王取ったんや」【一問一答】
「阪神秋季キャンプ」(16日、安芸)
阪神・岡田彰布監督(65)が来季プロ入り5年目を迎える井上広大外野手(22)について「それはもう確実性やんか」と課題を指摘。オリックス指揮官時代にノーステップを指導し、本塁打王を獲得したオリックス・T-岡田になぞらえて、若き大砲の進化に期待した。そのほか今季大ブレークの大竹獲得に成功した現役ドラフトの裏側などについても言及。以下、一問一答全文。
◇ ◇
-井上の打撃練習を見ていた
「おーう、今日はえらい良かったなあ。なんかあったんかなあ」
-迫力があった
「うーん」
-秋は伸びる時期と言っていた
「うーん。ちょっと変えよったよな、打ち方とか。ステップな」
-ノーステップにした
「おーん、ノーステップに近い、なあ。そらお前、前で野口が打っとったから余計やろ。同じ右でなあ。外野で右バッターいう意味ではなあ」
-来年は5年目
「来年5年目か。井上も。今度の1年(大卒ルーキー)と一緒やな、ほーう」
-勝負がかかる
「うーん。まあ、勝負。うーん。なかなかのう。(1軍に)割って入るのも厳しいかもわからんけど。なあ。1軍に定着という意味ではなあ。やっぱりどうしてもええ時と悪い時の差があるもんな。なあ。ファームの選手は特にそうやなあ。いい時期が短いというか」
-どうすればいい?
「そんなんもう自分でやるしかないやんか。はっきり言うて。ええ時ばっかり1軍上げられへんもんなあ。そんなにうまいこと。それはお前、タイミングやんか。誰かがケガするとか、ケガしたらアカンけどなあ。まあ誰かが調子が悪いとか、外野手いないかという時に調子がええとか、それはもうタイミングやんか」
-長打力が魅力。課題は
「それはもう確実性やんか」
-打ち方を変えてノーステップにしたり…それはいいことか
「ノーステップするということは確実性を増そうということやんか。結局は。だからオリックスの時にT(岡田)もそうやんか。結局、まず打率を上げようと。そこからの基準でヒット狙いがホームランにもなあ。そら、ほかのもんよりもパワーがあるわけやから。それがホームランになるという…それでホームラン王とったんや。あれ。Tもなあ。なあ。ノーステップで取ったんやで。アレ」
-Tは確実性を増そうとして挑戦した
「タイミングの取り方が下手なんよ。足上げたり、いろんなことをしとったけどな。うーん。結局、自分のポイントで打たれへん。タイミングをとるのが下手やからな」
-それが改善されて打者として一皮むけた
「そうそうそう。あれ、楽天の室内に連れて行って、いつや5月くらいやったかな、で、ノーステップにさせたんは途中からやで。まず言ったのは、アウトコースのボールをレフト線に打てって言うたんや。レフト線にヒットや。今までそんなん見たことない。みんな引っ張れ、ばっかりやから。その試合でレフト線に二塁打を打ちよったんよ。アウトコースのボールを。その1本だけよ。それがきっかけよ、アイツの。そんなもんや、バッティングなんか、それでガラっと変わってもうたんよ。それで外を打たれたから相手のピッチャーはまた考えるやんか。今まではそんなところ、引っ張ってセカンドゴロのところをレフト線に打ったからな。コンパクトに。
-その時は打撃コーチを通してか、監督から直々か
「いやいや、あれは、正田(打撃コーチ)がな、お母さんの具合が悪いかなんかで和歌山に帰ってたんちゃうかな。多分、そう思うわ。正田はいてなかったんちゃうかなと思ってな」
-で、監督が伝えた
「そうや。俺が室内に連れて行った。球場の前のな。多分そうやったと思う、(正田さんの)お母さんの具合が悪くて和歌山に帰っている時ちゃうかな」
-イレギュラーな形の指導だったのか?
「そう。ノーステップで打てなんか初めてや。初めて、初めて」
-井上もチャンスをつかんでほしい
「まあ、つかむ…、それはわからんけど、俺がそんなんほしい、ほしいって言うたら、いっぱいおって困るやんか。困るって言うたらおかしいけど、全体的なレベルアップは必要やけどな」
-あのパワー、体、素質はもったいない。
「もったいないって言うか、それはまあ、もう今度、来年5年目やろ?別に早いとか遅いとかっていう問題からいったら、大学行ったと思ったら、来年でプロ1年目っていうて、そうちゃうの?5年目やからどうかじゃなくて、1年目からでもできるやつはいるし、まあそれは何年目とか関係ないからな。何かでチャンスをつかむこともあるわけやからな。まあそれはどういうことが起きるかわからへん。そのためには、ある程度力を付けておかなあかんということやな。いつそういうチャンスが巡ってくるかわからんのやからな」
-キャンプは「野手の底上げ」と言っていた。井上はその対象の1人か?
「1人、2人…、ってだから、そんなにいっぱいベンチに入らへんからのう。だって今もうなあ、(外)野手何人来てるんや。5人くらいか。まあでも、また2月になったらキャンプの人選とかな、1軍、2軍、なんぼ2軍も沖縄行ったから近い言うても、やっぱり1軍のキャンプに参加したいわ、そらな、選手はな。いつでも呼べる言うても、おーん。まあそういう意味でも見極めはしかし、大変やで。だってキャンプのメンバーはお前、内野手は誰々お願いします、外野手は誰々お願いしますやからな、コーチはな。俺からその、最終的には判断するけどな」
-決めるのはもっと先か
「そらそうよ、先や」
-今年はたくさんの選手が実績を作った。信頼している選手はある程度、具志川で独自調整させる考えは
「まだそんなん、そこまでの選手はいないやろ。去年1年ブレークしたいう選手もいてるしな、おーん。そら来年どうなるか、そんなん分からへんよ、はっきり言うて。そこまでな、ベテラン組言うたらおかしいけど。そこはおらんやろ、でも」
-ブルペンでは井上と同期の西純を見ていた
「アカンなあ、全然やったな。今日、横の川原の方が目立ったで、はっきり言うて。別に横から見てたら分かるやろ。ホントに。今日は100球超えてからの川原の方が全然良かったよ、ボール」
-西純は連日よく投げているが、良くないから投げているのか
「まあ、そら本人の気持ち的にはまあ、そら去年の1年前に比べたら全然アカンよな。去年は良かったよ、はっきり言うて。去年は良かった。これはいけるな思ったけどな、去年は。今年はしかし、ピッチングコーチも西純はちょっとキャンプでスタイル変えた方がいいよ、今のスタイルじゃ無理やでって俺は言うたんやけどな。やっぱちょっと変えんとアカンわ。今のままで俺は良くならないと思うよな」
-修正が必要なポイントは
「いやいや、そこまではっきりとは分からへんよ、そら。だってそんな、ええ時ないわけやから今まで。そやろ、おーん。そらクライマックスで中継ぎ投げた時くらいや、一番良かったのは。そんなんはあいつのホントのスタイルじゃないわけやん。ホントにええっていうのは本人分からへんのちゃうかな。そら、どっちか言うたら先発タイプやんか。今までもずっと先発やってたわけやからな」
-去年はどういうところが良かった?
「そらストレートの走りよ。ほとんどストレートしか投げてないやから(笑)」
-素質は感じられただけにものになってもらいたい
「素質とかじゃなしに、ええボール投げとったいうことやで、別に」
-フォームに問題があるとか
「そらなんかあるんやろな、おーん。今日なんか3球に1球くらいやで、キャッチャーが構えたとこ、ほっとんどいってないで、今日なんか見とっても。結局なんぼええボールがいっとってもな、ボールが甘くなって高いとこなって打たれる、今年なんかそういう感じやんか。それをやっぱり改善せなアカンけどな」
-もう一つ殻を破ってほしい
「殻ていうかお前、ほんとにええのは誰も見てないと思うで。素質がええから西純、西純、言うてるけど、なんの実績もないわけやんか。そこまでほんとは評価する必要はないんやけど、俺はそう思うよ、おーん。でもブルペンのボール見たら、ねえ、こんなにええボール放るのに何でだろうってなってるだけよ、はっきり言うて」
-変えた方がいいところは
「そら変えんと、ようならんと思うよ。変えた方がええじゃなくて、変えんと、ようならんよ。俺はそう思うよ」
-勢いだけで押していくスタイルじゃなくて、少しコントロールを考えて
「いやだから自分がどう思ってるかやろうな。今日もミットに構えてるところなんかほっとんどきてないよ。で、パッと抜けるボールとかな、ちょっとシュート回転して、全然力のないボールが、なあ、アウトコース構えた時に、真ん中くらいにスゥーって入ってくるあいう球がやられるんやろな、大事なところで」
-去年の秋の印象がよかったからこそ物足りない
「いやだからそういうことやんか。あんな感じでもシーズン入ったら先発であかんかったわけやんか。それよりも今年の方があかんよな。ということはどういうことやん。そうなってくるやろ、結局は」
-ピッチャーも確率を上げることが大事
「もうそら、ストレートでボールが少々甘なっても空振り取れるいうたらもう、160キロ以上投げなあかんで、はっきり言うて。もう平均150投げてても打てるから、ボールが甘なっても大丈夫や、じゃもうないよ、時代的にな。150でもやっぱりある程度コースに投げ込まんと、バッターは対応するよ、はっきり言うて」
-彼も来年、大卒1年目で下村も入ってくるが、分岐点になるか
「まあ分岐点て、さっきも言うたけど、大学4年間行ったと思ったら、もう1回プロ1年目の気持ちで、そう思うよ。そら今までいっぱい試行錯誤してな、ようなるためにやってたと思うけど、それでもそんなにな、よくならなかったやん、はっきり言うて」
-いい意味でリセットのシーズンに
「まあそうやろなあ、おーん」
-今よくてシーズンでは悪いよりも今、秋だからこそ悩める
「いやー、だからもうそら、よくなるというか、どのくらいよくなったら抑えられるんかがわからへんわ、俺は。だってそういうの見てないからなあ。まあ分岐点あったやんか、今年の。今年は西純あかんなと思ったけどな。2軍の練習試合のお前、日本ハム戦見たらわかるやんか。ええ、才木が4回完璧で西が4回投げてな、ストレートばっかり投げてボコボコ打たれてな、日本ハムの2軍よ。そういうのはやっぱりあるやん、比較論。やっぱり才木のストレートは日ハムのバッター差し込まれて抑えたやん。でも名護で西純、ボコボコやったやんか、俺見に行ったとき。2軍の試合に投げさせにいったんやで、投げるとこないから4イニング、4イニングで。それでもやっぱりああいう打たれ方するわけやからな、やっぱり。俺は今年はあの試合で西純と才木の違いが出たと思うよ、はっきり言うて。まあ、そんなんその時に言うたら使えんようになるけどな。でもこっちはそういう判断してしまうよな」
-来季は下村ら大卒新人も入ってくる。競争になる
「いや、競争せんでもええもん使うよ、そんなん。別に競争なんてせんでええやんか。自分のもの見せてくれて、こっちがええと思ったら、どっちか使うよ。どっちも使わんかもしれんしのう、悪かったら。そら両方とも、2人とも良かったら2人とも使うし、それだけのことやん。別に競争なんてせんくても」
-プロのキャリアは関係ない
「当たり前やん、関係あらへんよ」
-川原は育成だが、期待されている
「なあ。まあそれは川原なんかピッチングコーチがそないしてこっちに連れてきてるわけやからさ。今日なんかしかし、最後横で並んで2人投げとったから、そら見たら、どっちが背番号2桁か3桁か分からへんで、はっきり言うて。ユニホーム代えとったら、(川原が)やっぱこいつすごいなってなるかも分からんで。127番として見てるからのう、やっぱり。それだけのことやと思うよ」
-いいボールを投げていた
「100球超えてからな、すごいやんか。この時期で100球超えてからあんな球がいくということは。そんなん、2軍でも先発完投とかやってないやろ。長イニングそんな投げてないと思うで、今年は2軍でもな。育成やしな。でもなあ、まっすぐばっかり投げるのしんどいよ、はっきり言うて。真っすぐばっか疲れるからカーブお願いしますとか、スライダーお願いしますとか言うんやから、だいたいピッチャーはな。でもそんだけストレート投げ込んで、あの球数でもあないして腕振れて、ストレートくるということは大したもんちゃう。育成の立場からしても」
-支配下の枠を考えても育成選手はまだチャンスある
「あるある、枠あるよ。支配下の枠、あれ外人の枠やからな、2つ。それは絶対埋めないかんことはないわけやから、育成選手もチャンスあるということやわな」
-育成から上げることは今後もある
「そら枠があるんやったらな、うーん」
-川原もチャンス
「別に良かったら、そら支配下に。だって良かったら使いたいし、使おうと思ったら支配下にせんと」
-あとは実戦で結果を
「うん。そうなってくるよな。でも2月とかにでも2月とかになあまり大きな背番号で投げさせたくないやんかやっぱり。見てる人からすればな。なんやアイツあんな背番号デカいやんてなるやんか」
-上げるならなるべく早めに
「そら早よ決めてやった方がええと思うけどな。ただそれは支配下枠がどのくらいそないして空くかやな。まだ外国人が分からんからな」
-昨日トレードはやらないと
「やらへんよ。全然そんなんお前。何にもないわ。編成もゆっくりしとるよ(笑)」
-トライアウト選手の名前も他球団では挙がっている
「そんなんお前。全然」
-現役ドラフトは
「現役ドラフトはこれはしょうがないよな。全然決めてないよまだ。まだ先やろ」
-去年は大当たりの大竹を引いた。戦略の工夫も
「大当たりってお前、そらしかし。大竹はウチだけやったんやで。一本釣りやで。競合やからこっちが先に陽川でいけたじゃないよ。一応あるんよアレな。希望選手がの。それには他になかったよ、大竹は。俺ビックリした。絶対大竹なんか他の球団欲しいと思ってたから。なかったよそれは」
-プロスカウトを使って目星を
「そんなんお前、まだ分からへんやろ。どこもな。誰を出してくるかな。2人やろ、出さなアカンの。それは他の球団は分からへんわまだ。誰いうても。こっちから希望するのとちゃうんやからな。向こうがな、球団が2人を出すんやからな。12月になってからかな?」
-1日に
「1日かなんか。あの辺で出すんよアレな。2人をな。発表せんもんな誰を出したかは。残ったら気分悪いからな(笑)。獲られた選手は分かるだけであってな。1人は絶対残るんやから」
-獲られた選手の方が幸せ
「どっちかニコイチの方が欲しい。そういうことやんか。後ろの方になったら仕方なしにとるのもあるやん(笑)。全部が全部ええ選手やないで」