掛布雅之氏が33歳の若さで引退を決断した衝撃の背景を明かす「村山さんがいいとか悪いとかじゃなくて」
元阪神の掛布雅之氏が14日、中日、西武、阪神で活躍した田尾安志氏のユーチューブ「TAO CHANNEL」に出演し、33歳の若さで現役引退を決断した裏側について語った。
手首に死球を受けて戦線離脱した1986年。掛布氏は「後半ダメで、実はもう辞めるつもりだったんですよ」と明かした。それでも新監督に就任した村山実氏から「もう一回、掛布を再生させなければいけないんじゃないかということを言って頂いて」引退を翻意し、「もう一度、自分の積み木を積み替えるような形で、一からやってみようという気持ち」でトレーニングに励んでいたという。
転機のひとつになったのが、試合が雨天中止となった後に開かれたミーティングだったという。村山監督が「今日は無礼講じゃないけれど、お前達の意見を全部聞くから」と提案され、掛布氏はチーム内で解決できることはチームで解決して、新聞記者を含めたマスコミに伝える前に、選手にまず監督の考えを伝えてほしいと要望したという。
だがその後、神宮室内での練習に向かったところ、新聞記者から「お前、なんか監督にいろいろ言ったらしいな」と告げられ、村山監督がミーティングで選手達が言った意見をチーム内で解決せず、すぐさまマスコミに漏らしていたと大笑いで振り返った。
掛布氏は「村山さんがいいとか悪いとかじゃなくて、選手と監督の間に距離感を感じだしてしまった部分がありまして。自分の中でなにか膝だとか腰だとか持病的なものを持っておりましたので、そういうものに対して精神的に踏ん張れない自分っていうものが見えてきちゃう。何か自分の中でグラウンドでやってる自分の野球が、ファンの方に対してウソをついているような野球をやってるんじゃないかと。どうしようか、やめようか、やめまいかとすごく悩んでたんですよ。で、ファーストへのコンバートというような話も僕に直接言うんじゃなくて、マスコミで見るんですよ、新聞で。引き際を感じた時に、奥さんが『もう、いいんじゃない』って声をかけてきたんですよ。それで大きな決断ができたんです」と振り返っていた。
また、東京遠征時に掛布氏がかわいがっていた後輩選手がほろ酔い加減でチーム宿舎に戻り、監督に呼び出された際、「お前、そんなことしてたら、掛布みたいになるぞ」と言っていたことが判明し、「あぁもうダメだな」と思ったことも明かした。
ちなみに田尾氏はくだんのミーティングで「勝てるような戦略でやってもらわないと困る」と意見し、掛布氏らは「田尾さん、言っちゃったよ」とヒソヒソ話をしていたという。