阪神・岡田監督「アレ」流行語大賞 「勝利監督よりうれしい」 隠された“もう一つの意味”も告白
今年を代表する言葉を選ぶ「現代用語の基礎知識選 2023ユーキャン新語・流行語大賞」が1日、発表され、阪神の岡田彰布監督(66)が優勝の意味に置き換えたスローガン「アレ(A.R.E.)」が年間大賞に輝いた。東京都内で行われた表彰式に出席し「勝利監督よりもうれしい」と喜びに浸った。関西発の言葉が年間大賞となったのは1995年の「がんばろうKOBE」以来。野球界からは3年連続の受賞となった。
ストライプ柄の“タテジマ”シャツに黄色のネクタイという“タイガース・スタイル”で晴れの舞台に上がった。優勝を意味する「アレ」が今年を代表する言葉に選ばれ、壇上の岡田監督は「勝利監督よりもうれしいです」と“岡田節”を交えて相好を崩した。
「アレ」の由来は13年前だった。オリックス監督時代の2010年。交流戦の優勝が近づく中、地に足の着かないチームを見かねて「優勝」を禁句とし「アレ」と言い換えた。誕生秘話を明かし「オリックスの時はあんまりインパクトなかったですね。そんな話題にならなかったので。やっぱりタイガースはすごいインパクトがあった」と笑いを誘った。
昨年10月24日の秋季練習初日には「今日だけは優勝と言うけど、明日からは『アレ』って言うからな」と訓示。選手に優勝の重圧を意識させないための言葉だったが、指揮官は隠された“もう一つの意味”も明かした。「近くにある『コレ』を取っては手が届くんだけど『アチラ』と言うと遠い感じがする」
阪神は昨年までの直近4年間で2位2度、3位2度と悲願に届きそうで届かなかった。「『アレ』というのは、もう少しでたどり着くというのが加味されているので、ちょうどいいかな」。優勝へ絶妙の距離感を持つ言葉として選択した。
Aは「Aim(目標)!」、Rは「Respect(敬い)!」、Eは「Empower(力付ける)!」の頭文字で、英単語を割り当てたのは妻陽子さんの発案。「すごいなと思いました」と内助の功にも感謝した。
18年ぶりのリーグ優勝と38年ぶりの日本一達成に沸いた23年。猛虎に彩られた1年を年間大賞というビッグタイトルで締めくくった。野球界からは3年連続の大賞受賞。「やっぱり一番注目を浴びるのは野球じゃないといけない。これはもう野球しかやってこなかった人間の言葉なんですけど」。野球人としての矜持(きょうじ)、日本スポーツ界をけん引する強い自覚をにじませた。
来季は野球でも流行語でも“連覇”が期待される。「なかなか『アレンパ』はええ言葉ですね」と改めて佐藤輝が考案したフレーズを持ち出して笑った。さらなる流行語が生まれるのか。岡田阪神の2年目も目が離せない。