【とらものがたり・大竹耕太郎投手編(4)】野球選手を志すきっかけとなったホークス 必然だった“出会い”
阪神選手の野球人生に迫る新企画「とらものがたり」。現役ドラフトで加入し、12勝を挙げて大ブレークを果たした大竹耕太郎投手(28)の第4回。
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2003年、小学2年生だった大竹は、熊本から両親に連れられて初めて福岡ドーム(現ペイペイドーム)に観戦に訪れた。「ちょうど和田さんが投げていて、和田さんが勝って。すぐホークスのファンクラブに入ったね」。野球選手を志す大きなきっかけだ。
父の紳一郎さんにとっても忘れられない思い出。「私も妻も教師の仕事をしていて、球場に行けても土日。福岡も熊本から簡単に行ける距離ではないので、あの時が初めてでした」。和田が勝ち投手になり、ドームに花火が打ち上がる光景が親子の目に刻まれた。
この年、早大から入団したばかりの和田は14勝5敗と圧倒的な成績を残し、日本シリーズ最終戦では阪神相手に胴上げ投手になっている。同じ左投手だった大竹は、和田のサインが入ったプリント色紙を購入するほど憧れを抱いたという。
鷹戦士との思い出はこれだけではない。その数年後、福岡ドームへ観戦に訪れた際には当時、現役だった松中信彦氏にフェンス越しに声をかけられ、バッティンググローブをプレゼントされた。
「今でも実家に大切に飾っているし、ソフトバンクに入った後に直接、お礼も言いに行きました」
幼稚園年長の頃からグラブを片手にボール投げを始め、「小学校も友達と遊ぶなら野球だった」。父とのキャッチボールも忘れられない原点だ。4年生から所属した「田迎スポーツ少年団」では投手として活躍。この頃には「プロ野球選手になりたい」と、夢に向かって走り出していた。
18~22年は和田とソフトバンクでプレーし、阪神移籍後も自主トレに参加させてもらっている。「プロ野球を初めて見に行った時に投げていた人から教わるって、普通に考えたらあり得ないよな」。偶然のような話に見えるが、大竹の野球人生を振り返ると、小学2年時の和田との“出会い”は必然だったといえる。