【阪神ドラフト選手特集・山田脩也内野手(3)】兄を追い、相思相愛だった仙台育英への進学

 サヨナラ打を放つ仙台育英・山田=3月21日
 仙台育英時代の山田(左)と兄利輝さん(家族提供)
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 10月のドラフト会議で、阪神から指名を受けた8選手(1~6位・育成1~2位)の連載企画。ドラフト3位・山田脩也内野手(18)=仙台育英=の第3回。

  ◇  ◇

 「この子をプロまで育てたい」。初めて山田のプレーを目の当たりした仙台育英の須江航監督(40)は、そう心に決めた。“出会い”は山田がまだ12歳だった17年秋。系列校の秀光中を率いていた須江監督は県内外を問わず1000人以上の小学生のプレーを見る機会があった。

 細くて小さな一人の内野手に目を奪われた。「体は小さいが肩が強い。ボールを強く正確に投げられる。さらにボールに対する足さばき。守備に関してはダントツにうまかった」(須江監督)。山田は硬式志望だったため、軟式の秀光中入学はかなわなかったが、山田自身も「選手を大切にする人柄が印象深かった。いつか須江先生と野球ができれば」と当時から“相思相愛”の間柄だった。

 17年夏。小学6年の山田は仙台育英への進学を“決意”していた。甲子園1回戦で兄・利輝さん(24)が放った本塁打を聖地で観戦。淡いグレーのユニホームに強い憧れを抱くようになった。須江監督は18年に仙台育英の監督に就任。そして21年、山田は兄の背中を追うように仙台育英へ入学し、須江監督との師弟関係が始まった。

 山田をプロへ送り出すために、須江監督は「天性の守備力」に加えて走塁を磨いた。「守備と走塁を高校生トップに引き上げ、打撃は(将来に)可能性を感じさせると評価してもらえれば」。そして何より重視したのが精神面だった。おとなしい性格の山田だったが、須江監督は「自分の意思を話し、伝えられないとプロは遠い」と感じ、心の成長を促すために主将を任せた。

 2年夏に甲子園を制した後、新チームの主将に就任。重責に思い悩みながらも仲間をけん引した。3年夏には甲子園で準優勝を達成。須江監督は「1年でこんなに成長したキャプテンはいなかった」と目を細めた。

 プロ入りの夢がかない、山田はまず両親への感謝を口にした。母・歩さん(45)には「いろいろ迷惑をかけたけどありがとう。変わらず遠くから見守ってください」とLINEを送った。成熟した18歳の姿がそこにあった。

 山田家では1匹の猫を飼っている。利輝さんが甲子園に出場した17年、庭に迷い込んだキジトラを父・浩二さん(45)が見つけた。新たな家族は「トラ」と名付けられた。山田が野球を始めたチームは「荒町タイガース」。そして「阪神タイガース」からドラフト指名を受けた。虎との縁について、山田は「あると思います」と笑った。運命に導かれるように“虎の申し子”が誕生した。

 ◆山田 脩也(やまだ・しゅうや)2005年8月20日生まれ、18歳。宮城県仙台市出身。177センチ、71キロ。右投げ右打ち。内野手(主に遊撃手)。小学校1年次からリトルリーグ荒町タイガースで野球を始め、仙台東部リトルシニアを経て仙台育英に進学。2年夏に甲子園で優勝、3年夏は準優勝。U-18日本代表では世界一に貢献した。50メートル走6秒2、遠投100メートル。家族構成は父、母、兄、姉2人。

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