【とらものがたり・大竹耕太郎投手編(8)】高校3年間、三段弁当を作り続けてくれた姉への感謝

 阪神・大竹
 水族館で記念撮影する大竹(左)と姉・沙季さん親子
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 阪神選手の野球人生に迫る新企画「とらものがたり」。現役ドラフトで加入し、12勝を挙げて大ブレークを果たした大竹耕太郎投手(28)の第8回。

  ◇  ◇

 大竹は姉の沙季さんのことを心から信頼している。「実は高校3年間、弁当を作ってくれたのも姉ちゃんで」。熊本の大学に通いながら、毎朝三段弁当を作り続けてくれたことへの感謝は忘れない。 沙季さんは懐かしげに当時を振り返った。

 「両親も共働きで忙しく、私は大学生で時間もありました。野球をする上で栄養面も大事だなと思いましたので、本人の野球を応援したいなという気持ちで毎日作りましたね」

 年齢差は6歳。昔から、衝突することもなく仲のいい姉弟の関係だったそうだ。「6歳離れていたので、こっちが面倒を見るというか応援しなきゃ、手助けしなきゃって気持ちでした」。大竹も両親に話せないような悩みを「姉になら」と打ち明けられたそうだ。

 ネット販売の購入など生活的な相談もあれば、進路選択に悩んだ時も大竹が真っ先に相談したのは沙季さんだった。「両親に言いづらい、困ったことがあれば多分、私に連絡が来るのかな」。そんな沙季さんは、大竹の意志の強さを感じたエピソードがあるという。

 大竹が結果の出なかった早大3年時、ベンチを外れてスタンドで応援する日々があった。普通なら心が折れてもおかしくない状況。弟の気持ちをおもんぱかり、沙季さんは「無理して続けるものでもないんじゃない?」と伝えた。この言葉に対し、大竹は即答した。

 「俺から野球を取ったら意味がないから」

 決めた目標に対し、弟が真っすぐに突き進む姿勢を見ていた沙季さん。「きつい思いをしていたとしても、本当に逃げない。そこが弟のすごいところですね」。今ではその野球が職業になり、ソフトバンク入団後も紆余(うよ)曲折ありながらも、現役ドラフトで加入した阪神で12勝。大ブレークを遂げた。

 その過程を知っているからこそ、沙季さんは涙が止まらなかった。「うれしそうにガッツポーズをしているところや仲間と笑顔でやっている姿を見られるのが一番、うれしいんです。とても楽しそうにやっているので」。これからも楽しそうにマウンドに立つ弟の姿を見守り続ける。そして、大竹もタテジマで躍動する姿を見せることが、姉への最大の恩返しとなる。

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