【とらものがたり・村上頌樹投手編(3)】運命の“黄色い糸”に導かれ

 18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に貢献した阪神選手の野球人生に迫る新企画「とらものがたり」。大竹耕太郎投手に続く2人目は、プロ未勝利から今季のMVPに輝くまでの大ブレークを果たした村上頌樹投手(25)が登場する。第3回は平田勝男ヘッドコーチ(64)や阪神タイガースとの切っても切れない縁について掘り下げる。

  ◇  ◇

 2010年、当時の平田2軍監督は一人の野球少年の肩を抱いた。うれしそうに丸い頬を緩めたのは、村上頌樹少年。運命の“黄色い糸”は、10年以上も前からつながっていた。

 兵庫・南あわじ市出身で家族も虎党だったことから、物心が付いた時には生粋の阪神ファンだった。特に憧れたのは藤川球児の「分かっていても打たれない」火の玉ストレート。藤川の下敷きを使い、授業を受けるなど日々の生活に猛虎愛は宿っていた。

 運命の出会いが訪れたのは、小学6年生の時。淡路・徳島交流少年野球大会で野球教室が開催され、阪神の選手から直接指導を受ける機会に恵まれた。「ただの野球小僧やったので、プロ野球選手と触れ合えるのは、めっちゃうれしかったです。一番覚えているのは、桜井広大さんにティー打撃のトスを上げてもらったこと」と懐かしそうに振り返る村上。記念撮影の際には、当時2軍監督だった平田ヘッドとともに笑顔で写真に収まった。

 野球人生の節目において、猛虎との縁は切っても切れないものだった。南淡中学時代に所属した「アイランドホークス」のコーチを務めたのは、偶然にも元阪神の庄田隆弘氏。同氏が引退翌年に指導者となったばかりというタイミングで、中学3年間指導を受けた。高校進学時には、強豪校からの誘いもあったという中で、庄田氏の出身校であるというつながりから奈良・智弁学園へ。「庄田さんがいなかったら智弁に行っていたかも分からないので、来てくれて良かったです」と振り返る。

 体に組み込まれている黄色いDNAが数々の縁を導いてきた。プロ入り後、1軍を目指して汗を流した2年間を平田2軍監督の下で過ごすこととなるのは、まだ少し先の話…。「平田チルドレンなので(笑)」と村上。淡路島でのびのびと育った少年は、さらなる高みを目指して新たな世界へ飛び込んでいくこととなる。

 ◆村上 頌樹(むらかみ・しょうき)1998年6月25日生まれ、25歳。兵庫県南あわじ市出身。175センチ、80キロ。右投げ左打ち。投手。智弁学園3年のセンバツで優勝し、東洋大を経て20年度ドラフト5位で阪神入団。21年に2軍で最多勝、最優秀防御率、最高勝率の3冠。22年も最優秀防御率、最高勝率の2冠。21年5月30日・西武戦で1軍初登板初先発。今季は最優秀防御率のタイトルを獲得するなど大ブレークしてリーグ優勝&日本一に貢献。セ・リーグMVPと新人王をダブル受賞した。

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