【阪神ドラフト選手特集・松原快投手】技術力&精神的強さつけ掴んだラストチャンス
10月のドラフト会議で、阪神から指名を受けた8選手(1~6位・育成1~2位)の連載企画。今回は育成ドラフト1位・松原快投手(24)=日本海L・富山。
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2歳下に妹、7歳下に弟がいる長男の松原だが、野球を始めたきっかけは“お兄ちゃん”の影響だった。小学1年からサッカーを始めていた快少年。自宅の向かいに住み、家族ぐるみの付き合いをしていた7歳年上の桐大知さんが、高校野球で捕手をしている姿を見て、心変わりした。
母・雅美さんが「保育園の頃から一緒に遊んでもらっていて。マネするように、自分も野球チームに入りたいと言い出しました」と振り返るように、小学3年のときに宇奈月ヤンキースに入団。ポジションは憧れの人と同じ捕手を選んだ。
中学時代の富山東武ボーイズでも捕手。高校は富山第一に進んだが、2年時の高朋への転校が、投手への道を切り開いた。野球部・森崎直樹監督に背中を押された。松原が当時の心境を述懐する。
「森崎監督は中学校の頃から声を掛けてくださっていて。僕の適性はピッチャーだとずっとおっしゃってくれてました。一から野球人生が始まるという気持ちで、戸惑いはなかったです」。招待試合では東海大相模時代の森下とも対戦し、ショートフライに打ち取った。3年夏の富山大会で決勝まで進んだが、甲子園へあと一歩で涙をのんだ。
高校卒業後は地元の社会人チームで、元阪神・藤田太陽氏が監督のロキテクノ富山で4年間プレー。その後、家族に「あと2年間だけ。ダメだったら諦める」と約束して、日本海L・富山へ進んだ。1年目の秋にNPBから調査書が届いていたが、無念の指名漏れとなった。
ラストチャンスとして迎えた今季、富山の吉岡雄二監督は「去年の悔しさも成長につながったと思います」と指摘する。「去年までは自分優先でしたが、今年はバッターを見ながら自分のボールを投げられて、技術的な力をつけたと思います。精神的な強さもついてきて」。阪神を含むNPBファーム相手に6試合9イニングで自責点0。確かな結果を残して、ドラフト育成1位指名の評価を得た。
投手としての才能をいち早く見抜いてくれた高朋・森崎監督は、17年に53歳で急逝。「甲子園への思いが強い監督だったので、いい報告ができます」と松原。必ず支配下を勝ち取って、聖地のマウンドでの雄姿を天国の恩師に届ける。
【松原快(まつばら・かい)アラカルト】
◆生まれ 1999年8月24日、富山県黒部市出身
◆家族構成 母、妹、弟
◆サイズ 身長180センチ、体重88キロ。投手。右投げ右打ち
◆球歴 宇奈月ヤンキース、富山東武ボーイズを経て、富山第一高に進学。2年春に高朋高へ転校し、3年夏の富山大会で準優勝。高校卒業後はロキテクノ富山に入団。22年から日本海L・富山でプレー
◆球種 スライダー、シンカー
◆最速 156キロ
◆好きな食べ物 寿司、特にブリ
◆趣味 朝風呂
◆好みのタイプ 北川景子
◆座右の銘 辛いは一瞬悔いは一生