１０月のドラフト会議で、阪神から指名を受けた８選手（１～６位・育成１～２位）の連載企画。今回は育成ドラフト２位・福島圭音外野手（２２）＝白鷗大。

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　「圭音」と書いて、「けいん」と読む。母・真由美さんが大ファンの肉体派俳優、ケイン・コスギにちなんで名付けられた。「ハーフと間違えられることはしょっちゅうです。でも、人とかぶることのない名前ですし、音楽が好きなので『音』が入っているのも気に入ってます」。福島にとって自慢の名前だ。

　埼玉・秩父の自宅周辺でウサギなどの野生動物を追いかけ回した幼少期が、快足の原点だと主張する。保育園の頃から父・明さんとキャッチボールをして、小学２年でソフトボールを始めた。

　だが、１年後には「下から投げるのじゃない。上から投げるのやりたい」と野球に転向し、秩父ドリームスに入った。時を同じくして、神宮球場で見た阪神戦で鳥谷敬に心を奪われた。当時は同じ遊撃手。小学５年のときには、あこがれの鳥谷が通った聖望学園への進学を希望するようになった。

　秩父第一中の軟式野球部をへて、念願の聖望学園へ。本格的なトレーニングに取り組めたことで、「自分の中にあった能力っていうのがすごく出てきた」と俊足に磨きがかかった。名門とあって猛者ぞろいで、高校２年時に「すごいヤツらがいっぱいいて。試合に出るためにはどうしようかと考えて、外野が薄かったので自分で申し出ました」と、足の速さも生かせるコンバートを決めた。

　白鷗大では藤田慎二監督の方針で２番を任され、４年春には打率・５２６で２０盗塁をマーク。３年秋までの大学通算盗塁数は１４とあって、目覚ましい進化を遂げた。“足の才能”を開花させた藤田監督は、「データを今まであまり重視してなかったので、ピッチャーのクセとか、クイックの秒数とか、そういうことを本人に意図的に入れるようにしました」と述懐。「野性味にあふれるタイプでしたが、冷静に相手のことを分析するようになりました」と意識改革も指摘した。

　５０メートル走５秒８、一塁到達タイム３秒８。スピードを武器にプロの扉を開いた。「入り込む力、一瞬にかける力が強いのかな」と自負する福島。猛虎軍団には近本と中野、２人の盗塁王が在籍する。あこがれのスピードスターの背中を追うように、１日でも早く支配下へと駆け上がる。

　【福島圭音（ふくしまけいん）アラカルト】

　◆生まれ　２００１年１０月６日、埼玉県秩父市出身

　◆家族構成　両親、姉、兄

　◆サイズ　身長１７１センチ、体重７２キロ、右投げ左打ち

　◆球歴　小学校３年のときに秩父ドリームスで野球を始める。秩父第一中学から、鳥谷敬氏にあこがれて聖望学園に進学。白鷗大では４年春に打率・５２６、２０盗塁をマーク

　◆遠投　１１０メートル

　◆５０メートル走　５秒８

　◆好きな食べ物　焼き肉、特にタン

　◆趣味　将棋、ギター

　◆座右の銘　自分の幸せじゃなく、人の幸せを願いなさい

　◆好みのタイプ　新川優愛