阪神・前川右京 レジェンド道場で自主トレ シーズン完走目指し新井、福留らが鍛えた施設で猛特訓
阪神・前川右京外野手(20)が19日、今オフから通う“レジェンド道場”での鍛錬の全貌を明かした。地元の三重県津市にある「みどりクリニック」は、広島・新井貴浩監督や福留孝介氏(元阪神など)らが現役時代に訪れていた。前川は偉大な先輩のように体を鍛え、来季こそシーズン完走を目指す。
うめき声が室内に響き渡る。筋肉も悲鳴を上げた。前川は「まじできついです」と額に汗をにじませた。
球界のレジェンドが現役時代に通った「みどりクリニック」は、理学療法などの観点から選手のパフォーマンス向上をサポートする。施設内には酸素濃度が低く高地環境が再現された「低酸素ルーム」があり、軽度の運動でも体に高い負荷でトレーニングができる。
同クリニックに週5日以上通う前川は「低酸素ルーム」で体幹トレーニングなどに取り組んでいる。地味な動きで息を切らす姿が、過酷さを物語っていた。臀部(でんぶ)、胸郭など肉体の細部まで神経を巡らせる。故障を防ぎ、力のロスが生まれない動作の習得を目指して毎回、約4時間みっちり汗を流す。
さらに「みどりクリニック」から場所を移して打撃練習、ウエートトレーニングも行い、1日の稼働時間は7時間を超える。
福留氏や新井監督ら指導してきた同クリニックの瀬戸口芳正理事長は、能力に太鼓判を押す。レジェンドと比較して「身体能力は高い」と評価。「シーズン中でも自分で体を整えられるレベルまで成長してくれれば」と期待を寄せた。
前川は危機感から動いた。チームの平均年齢が若いこともあり、「どんどん厳しい立場になる」。鳴尾浜で自主トレする選択肢もあったが、「甘えてしまう」と厳しい環境を選んだ。
来季の目標はシーズン完走だ。今季は1軍デビューを果たしたものの故障にも泣いた。「1軍はいい経験になったけど、それを生かさないと意味がない」。岡田監督も「そら戦力になる、なる。前川なんか元気やったら」と実力を認めているだけに、丈夫な体作りが飛躍の鍵を握る。
「体の感覚は良くなってきている。(福留氏のように)息の長い野球選手になれるように頑張ります」と前川。プロテインをゴクリと流し込み、決意した。