【とらものがたり・木浪聖也内野手編(4)】プロ1年目、近くて遠かった鳥谷氏の存在 「なかなか聞きに行けなかった」

 18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に貢献した虎戦士の野球人生に迫る新企画「とらものがたり」。大竹、村上に続く3人目は、木浪聖也内野手(29)が登場する。プロ5年目の今季は「恐怖の8番」として花を咲かせた。第4回はプロ1年目にライバルとなったレジェンド・鳥谷敬氏の存在について。

  ◇  ◇

 憧れのレジェンドの背中は、近くて遠かった。プロ1年目の木浪からすれば、雲の上の存在であった元阪神の鳥谷敬氏。入団直後からいきなりポジション争いをするライバルとなった。

 「すごい方ばかりなので」と恐縮して迎えた春のキャンプイン。鳥谷氏は遊撃再挑戦した年であり、通常メニューに参加していた。木浪にとっては正遊撃手の座を狙う場であり、それは鳥谷氏も同様。必然と意識しざるを得ない関係となっていた。

 「なんとか自分が試合に出るために何かできないかなと思って必死でやっていました」

 ポジション争いをしながらも、鳥谷氏の近くでプレーできるのは大きな成長のチャンス。木浪自身も自覚はしていたものの、一歩が踏み出せなかった。

 「鳥谷さんに当時は聞きに行ったりしたかったけど同じポジションっていうのもあったし、なかなか聞きに行けなかった。もんもんとした気持ちがずっとありましたね」

 距離を詰められないままキャンプが終了。ただ、北條を含めた定位置争いでは木浪がオープン戦から打撃でアピールに成功し、「1番・遊撃」で開幕スタメンの座を獲得した。勢いそのままに、7月上旬までは主力として奮闘。「なんもわからない状態で、みんなそうだと思うんですけど」と戸惑いながらもなんとか食らいついていった。

 しかし、7月下旬に打撃不振から抜け出せず初の2軍降格を経験。キャンプから結果を残し続けてきていたルーキーがプロで味わう初めての挫折だった。

 「それが結構悔しくて。すぐ戻ってきて、はい上がってやるって気持ちになりました」

 ファームで振り込みを徹底し、自らの打撃と向き合った約2週間だった。「本当にそういうのがあって復帰してからの活躍だったので、その時間があってすごく良かった」。8月上旬に再昇格を果たすと、調子は尻上がりに向上。113試合に出場し、打率・262の結果でプロ1年目を終えた。

 「1年目にしてはいい結果で自分の中では終われたかな」。ルーキーイヤーを駆け抜けた頃には、距離があった鳥谷氏の背中から大きな学びも得ていた。

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