【とらものがたり・木浪聖也内野手編(5)】しんどくてもルーティン「継続」貫いた自分らしさ

 18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に貢献した虎戦士の野球人生に迫る新企画「とらものがたり」。大竹、村上に続く3人目は、木浪聖也内野手(29)が登場する。プロ5年目の今季は「恐怖の8番」として花を咲かせた。第5回はどんな時も貫いたルーティンについて。

  ◇  ◇

 木浪は鳥谷氏の背中から学んでルーティンを築いた。偉大な先輩と同様に試合前練習の2時間前には球場入りし、ストレッチ、バッティング、ランニングと決まった自主練習を実施。雨の日であろうとも、怠ることはなかった。

 1年目の2019年。開幕遊撃の座を勝ち取り、同時に鳥谷氏は控えに回る機会が増えた。それでも同氏は全体練習前に黙々と体を動かし、戦う準備を入念に整えていた。木浪は「ベテランの鳥谷さんもこれだけ準備している。自分は試合に出ているのに」と背番号1の姿から野球への向き合い方を省みた。

 自身は21年に中野に遊撃の定位置を奪われて出場機会は減少。今季開幕前には「(ルーティンを)もうやめよう」とまで気持ちは落ちきっていた。ただ、「それを一回止めてしまうと自分に負けた気がして」と思いとどまった。必要不可欠な習慣は技術面だけでなく、メンタルにも安定をもたらしていた。

 「『今日はいいかな』とか思いますよね。けど、やります。誰かがやっているからやるとか、今日しんどいからやらないとか、それって誰でもできること。そうなりたくない」。自身最多の127試合に出場した今季もルーティンを貫いた。いくら疲労がたまっていても最後まで“自分らしさ”を守り抜いた。

 「気持ちとか、やり続ける、継続というのは自分は誰よりも強い気持ちを持っている。自分の強みだと思う」

 木浪の取り組む姿勢はチームにも浸透していった。来季から中日でプレーする亜大時代の先輩・板山も今季開幕前には「木浪も早くから来てやっているので」と全体練習前の自主練習を導入した。球場入りの時間を早めて体を動かす後輩も増えた。鳥谷氏から木浪が学んだように、背番号0の背中が若虎の道しるべとなっている。

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