阪神・近本 バット150万円分寄贈 被災地・能登へ思い センバツ出場の日本航空石川に30本発送
「阪神春季キャンプ」(14日、宜野座)
阪神の近本光司外野手(29)が1月の能登半島地震の被災地支援として、石川県珠洲市と輪島市の小中高へ、契約している「ヤナセ社」の150万円分の木製バットを寄付することが14日、分かった。第3クールが終了した宜野座キャンプでは、順調な調整を続けているトップバッター。グラウンドでも被災者を勇気づけるプレーを約束した。
未曽有の自然災害に心を痛めていた。近本は少し視線を落とし、言葉を選びながら寄付に至った経緯を明かした。
「本当にもうね…。無力だなというのはすごく感じましたね。起こってしまったことはどうしようもないですけど、なにかで元気になってもらえればと思いました」。倒壊した家屋や津波の映像を見て胸が締め付けられた。これまで被災地との縁はないが、いてもたってもいられなくなった。
「つながりはないけど、つながりがないからではなく、やれることはやりたい」。ドジャースと共同で100万ドル(約1億4000万円)の寄付を行うことを表明した大谷と同様、近本も自ら動いた。
「僕だけの力では(支援を)できるわけじゃないので」と、契約するヤナセ社の協力も得て、被災地の小中高の球児へ練習用と試合用のバットを150万円分、寄付することを決断。寄付先には今春のセンバツに出場する輪島市内の日本航空石川も含まれており、同校にはヤナセ社からこの日、約30本が発送された。他校は活動状況を見て送る予定だ。
「僕らができることって限られてくるけど、できる限りやりたいし。これからも自分ができることはやりたいなと思っています」。まだ野球の練習を再開するような状況ではない球児がいることも理解しているが、再び白球を追えるようになる日へ向けて、届けたバットがモチベーションになることを願った。
寄付だけではなく、プレーでも被災者や被災地の球児を勇気づけられる立場でもある。日本一を達成した昨季のような活躍へ向けて、準備は着々と進んでいる。
12日の紅白戦では今年の実戦初ヒットを放ち、「今やってることの悪いことが分かった」と収穫を得た。半日練習となった第3クール最終日は全体練習を終えた後、室内練習場でマシン打撃。対外試合が始まる16日からの第4クールへ向けて準備を整えた。
今回の寄付でつながりを持つ被災地から注目されることは、新たなモチベーションになる。「自分のことにおいても、しっかりしないとな、と」。神妙な表情で話していた近本は目線を上げ、開幕へ向けて気持ちを新たにした。