岡田阪神 今年も4番は大山 藤田氏との対談で指揮官明言「チームの中心、やっぱり今年も大山が4番やなと」
阪神の岡田彰布監督(66)と元阪神監督でデイリースポーツ評論家の藤田平氏(76)の対談が実現した。岡田監督は今キャンプでの取り組みを見て今季も大山に4番を託すことを明言。藤田氏も活躍に太鼓判を押した。また、岡田監督は16日から1軍に合流させる育成ドラフト2位・福島(白鷗大)は実戦で代走として積極的に起用して見極めていく方針も明かした。
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藤田平氏(以下、藤田)「キャンプは第3クールが終了したけど、ここまでを振り返ってどうかな。今年は戦力の底上げに取り組んでいるようだけど」
岡田監督(以下、岡田)「去年と違ってある程度、チームを把握できているんでね。メンバーはそんな変わっていませんし。1月31日のミーティングでも個人の成績を上げるようにやれ、と言うたんですけど。まだまだもっと数字を残せる伸びしろはあるからね。選手はそれでええと思うんで。試合になればこっちがちゃんとやるだけなんで、勝てるようにね」
-楽しみの度合いは今年の方が大きいか。
岡田「楽しみは去年の方があったな。どんな感じかなっていう。今年はある程度、チームが固まってのスタートやからね。それは全然違うね」
藤田「今年は連覇という目標があって選手もそういう気持ちがあると思う。去年は大山が打線の軸の4番としてやり切って。今年も4番を打つと思うけど、そういう自覚は感じるかな」
岡田「大山だけじゃなしに、去年の1年間を通してやったというのは他の選手も、ものすごく自信になっていると思いますね。キャンプって毎年同じことの繰り返しだけど、ちょっと違うように見えるようなところがありますね」
藤田「優勝したことで選手がいろんな面で成長したよね」
岡田「成長したのは間違いなしにありますね。(キャンプイン前には)『ちょっとは変わったやろうなあ』とは思ってましたけど。自覚というか、練習の態度や姿勢とかで成長は感じますね」
-大山は先輩に教えてもらってきたから、今度は後輩に伝える側という意識も口にしている。
岡田「練習を見ても自分のスタイルというか、センターから右方向を意識して打つということに取り組んでいるというのは、これもやっぱり去年1年間4番を張ったという経験があると思うよ」
藤田「監督は(ミートポイントを)前でさばけと言ってきて、大山はそうやればできると確信して迎える年でしょ。今年はもっと幅を広げるという活躍を期待したいね」
岡田「大山から『ホームランを打ちたい』とかそういう言葉は出ないでしょ?そうじゃなくて『1年間、4番の仕事をする』という自覚を感じますね。1年間4番を打った経験を経てね。取り組み方とかを見ていてもチームの中心にいるという意味では、やっぱり今年も大山が4番やなと思いますね」
藤田「去年はだんだん4番らしくなってきたからね。ドンと据えられると思うよね」
-大山の存在はチーム内に相乗効果を生んでいる。
岡田「そら、生んでる生んでる」
藤田「チームは軸ができれば打線の前後も良くなっていくからね。今年も楽しみだね」
-キャンプでは、木浪らレギュラーかは「分からんよ」と話した選手らも自覚が見えるか。
岡田「選手からしたら、そらレギュラーになるに越したことはないけどな。でも、相手を蹴落としてレギュラーポジションを獲るとかじゃなしに、キャッチャーの梅野と坂本でも『1年間、2人でホームを守る』という気持ち(を感じる)な。(出場が)何試合ずつになるかは分からんで。でも、俺はそういう気持ちを持ってることの方がうれしいわ。『俺が絶対レギュラーになる』じゃなくて。だから、ショートでもそうやと思うよ。そら木浪が調子悪かったら、小幡を使うし」
藤田「いい競争ができているから、調子がいい選手を使うという形になるよね」
岡田「そうそう。そんなに力は変わらない、はっきり言うて」
藤田「坂本もそう。梅野がケガして自分がやらなあかんという自覚があった」
岡田「そう、そういう力があるということですからね。去年の後半を1人で乗り切った。それ(経験)はめっちゃ大きいですね」
藤田「発言もそうだしね。それぞれが自分で一生懸命やっているというか、自信を持っているように見えるね」
岡田「だから、去年やって一番良かったのはポジションを固定して、打順も自分の役割というか、チームが勝つための役割を(分かったというか)ね。(個人が)犠牲になる部分があるけど、それによってチームが勝ったということが一番大きいかも分かりませんね、はっきり言うて」
藤田「自覚が生まれているなという感じはあるよね」
岡田「去年は個人個人の数字(成績)で勝ったシーズンじゃなかったから。個人の数字はそんなに良くない。近本、中野は当然、(今季は打率)3割を打つという目標やと思うから。だから、今年は自分の数字を上げろ、と。今年はそれでいいと思うんですよね」
藤田「去年のキャンプと同じで今年も内外野の連係では外野がカットまで返球していたけど、今年も徹底しているね」
岡田「今年のキャンプ前のミーティングで『今年も絶対に守備や』って伝えたんで。長いシーズンは守備の精度を上げられればもっと楽な戦いができるんでね」
藤田「たくさん特守もやっているけど佐藤もね、大きなポイントになるよね」
岡田「まあ、去年よりはちょっとましになってますね」
藤田「ちょっとね(笑)。バッティングも上がってきているように見えるけど」
岡田「そうですね、ちょっとね。あの辺の選手はもう結果が出るか出ないかなのでね。バッティング(の技術)がどうこういう問題やないと思う。ゲームの中で結果を出さないといけない選手なんで」
藤田「今年は戦力が分かっているし、2月半ばだけどポジション争いという意味では手応えもあるのでは。期待している選手はいるかな」
岡田「特に外野になりますよね。内野はある程度いけるけど。数字的にはノイジーにしても森下にしても物足りないので。第4クールからは練習試合とか対外試合になるんで。ポジションに食い込むような若い選手がこれからどのくらい実戦で結果を出してくれるかですね」
藤田「去年の秋に支配下登録された野口や、今年入った福島とか。魅力的な選手がいるよね」
岡田「福島は(16日から)1軍に上げるんで。しかし、あんな足の武器を持っていたらねえ。代走から守備固めでもいいわけなんで。バッティングまで要求してないから、はっきり言うて。そんなに守備固めがいるような選手はいないんだけど。それでも同点とかでは、あの足は絶対に武器になると思いますね」
(続けて)
岡田「本当にレフトとライトは分からないんで。基本的には(外野は)3番から6番までに入らないとあかんけど、福島みたいな足に武器があったり、守備固めに行けたりっていう選手は必要になりますね。植田、熊谷とか島田もうかうかできへん。全部(の能力)が並になってきたらあかんし、なんかちょっとスペシャル(な能力)がいりますね」
-福島は12日の紅白戦の二盗で能力を示した。
岡田「アウトかな、と思ったけど速いね。あれ、スタートして(直後に)滑りよったんやで」
藤田「走りを見たら陸上選手みたい。足の運びがええよな。赤星がほれるのも分かるね」
岡田「代走、守備から1軍にしがみついたらええ、最初は。俺はそう思いますね。バッティングは打席に立ってたら良うなってくるんで」
藤田「坂本も試合に出て良くなったもんね。勉強やもん」
岡田「だから、福島は練習試合から毎試合使おうと思いますよ。毎試合、七回以降の代走からの守備固めでね。2軍で走らすなら1軍で走らすし、2軍だったら全部セーフになると思いますよ。でも、それは意味がない。やっぱり1軍で盗塁をやっていくということに意味があるわけやから。野口でもどんどん使うし。前川しかりですね」
藤田「彼らには経験を積ませないとね」
岡田「前川、いいですよ。外野は今まで右(打者)が少なかったから。森下もそうだし、ノイジーもミエちゃんもそうだけど、(レギュラーが決まっている近本以外は)左が一枚になったんでね。野口、井上のどっちかは(2軍に)落ちないとあかん。タイプ的に同じようなバッターやから。2人はいらないんでね」
藤田「実戦が楽しみだね。残りのキャンプも頑張って」