井川慶氏 阪神・門別の早期ローテ入り太鼓判「直すところないから、何も言われてないでしょ?」

 井川氏(手前)にチェンジアップの投げ方についてアドバイスをもらう門別(撮影・伊藤笙子)
 初の1軍キャンプを振り返る門別(撮影・伊藤笙子)
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 沢村賞左腕から、期待の新星に“エース道”を伝授だ。デイリースポーツ評論家で元阪神の井川慶氏(44)と阪神・門別啓人投手(19)との対談が宜野座で実現。かつて20勝やシーズン200イニングなどを記録した井川氏がその経験を伝え、それを受けた門別は新人王をはじめ、将来的に20勝や沢村賞などのタイトルに加えて、井川氏の後を追うように虎のエースとなる目標を熱く語った。その2。

  ◇  ◇

 井川慶氏(以下、井川)「キャンプは昨年の2軍と、1軍ではお客さんの数も違う」

 門別啓人(以下、門別)「2軍の時も見られている感はありましたけど、より見られているなという感じもあって。OBの方々も来られてブルペンも見られていたので、そこでも違いを感じました」

 井川「監督の発言も含めて報道は気にする?」

 門別「そんなに見ないですが、開幕ローテーションがないというのはちゃんと見ました(笑)。(新聞は)毎日見るという感じではなくて、あまり気にしないですね」

 井川「その方がいい(笑)。自分も現役の時はあまり見なかったしね。自分を持って、しっかりやれればいいと思う。担当(スカウト)は葛西さんだよね?葛西さんから『いい素材だから見てくれ』と言われていましたし。投げ方は誰かに教わったの?」

 門別「投げ方はずっと一緒です」

 井川「自己流?」

 門別「はい、教わったことはないです」

 井川「右バッターと左バッターならどちらに投げやすい?」

 門別「右の方が投げやすいかなと」

 井川「落とす球があるから?」

 門別「右バッターのインコースが一番得意なので。あとはツーシーム系も得意なので」

 井川「打ち取る時に気を付けることは?」

 門別「去年1年投げて思ったのは、例えばインコースにいくにしても甘く入ったら絶対に打たれるので、よりインコースの方への投げミスなら打たれることはないので、内に入ってしまうというのはいいのかなと。投げミスしても内側というのは意識しています」

 井川「高校とプロで違いは感じた?」

 門別「感じました。高校の時はストレートで普通に抑えられていましたが(プロでは)ストレートを厳しいところにいっても打たれるし、どう投げても抑えられないというか。スライダーも捉えられるし、どこに投げたら抑えられるんだろうというのがあって。三振が取れなくて不安とかありました」

 井川「1軍と2軍の選手でも違いがある」

 門別「一番は、1軍で感じたわけではないですけど、2軍で森友哉選手(オリックス)と対戦した時に、真っすぐが外いっぱいにいって、見逃すようなタイミングでこれは絶対三振だなと思いましたが、見逃すタイミングからバットが出てきてヒットを打たれたことで、全然違うなと」

 -井川氏の現役時代の映像を見たということだが印象は?

 門別「素直にすごいなと思いましたし、チェンジアップがすごいな。ああいうチェンジアップを投げたいとずっと思っていました」

 井川「チェンジアップはどういう感じ?」

 門別「抜くイメージというか、パームに近いような感じのチェンジアップです。(球種は)真っすぐ、スライダー、カーブ、ツーシーム、フォーク、チェンジアップです」

 井川「それだけ投げられれば十分。オフ中のトレーニングで大きくなったりした?」

 門別「結構デカくなった感じはあります。体重にしたら去年から2、3キロですけど、周りから一回り大きくなったなと言われたので、より大きくなったかなという実感はあります」

 井川「意識する数字は?僕は防御率だったけど」

 門別「防御率はすごく大事と先輩方にも言われるので、そこは意識していこうかなと」

 井川「勝ち負けはチーム事情によるし、でも防御率は自分の力が必要だから意識した方がいいね」

 -何か門別選手から聞きたいことは?

 井川「先に聞いてもいいかな(笑)。ボールの握りとかを見たいので。チェンジアップは?」

 (門別がチェンジアップの握りを見せる)

 井川「左にも使う?」

 門別「左バッターにも使います。フォークは、元々スプリットを投げていたんですけど、あまり良くなくて、スプリットより少し広めにして。少し落ち幅が広い版みたいな」

 -では、門別投手から聞きたいことは?

 門別「チェンジアップですね。(去年の)キャンプの時に少し教えてもらいましたけど」

 (ここで井川氏が握りを見せて、実際に腕の使い方を見せる)

 井川「自分は(腕の使い方の)イメージとしては目の前の窓を拭くようなイメージで。でも投げ方は人によるので正解はないし、自分のチェンジアップを信じてやってくれたら」

 (続けて)

 井川「自分は2年目に初めて上で投げて、一応1勝だけできたけど、門別君と違って球は荒れるし、試合にならないぐらいで投げていたので。今の状態でいけばね、早い段階でローテにしっかり入れると思う。全然直すところないから、何も言われてないでしょ?投げ方がきれいで、フォロースルーまでが本当にきれいだから、バラつかないよね」

 門別「ありがとうございます」(照れ笑い)

 井川「プライベートなことも聞いていい?好きな食べ物とかは?」

 門別「グラタンです」

 井川「グラタン!?グラタンはおもしろいね。なかなかないよ。いいね、グラタン。何グラタン?」

 門別「海鮮系とか好きですね」

 井川「高校時代にはプロ野球を見る時間あった?」

 門別「高校時代はあまり見てなかったです。高校の(寮の)部屋にテレビがないので。スマホで速報を見たりとか、あとはYouTubeで気になる選手の投球フォーム見たりとか、本当にそれぐらいだったので。プロ野球をすごく見てたってことはないです」

 井川「YouTubeとかでダルビッシュ君とかもいろんな情報を出しているし、そういう情報は入れたりする?」

 門別「はい、見て参考にしたりします」

 -プロを経験してオフに地元に帰って、周りからの反響は?

 門別「すごくありました。地元とか帰って『今年頑張ったね』というより、『来年頑張ってね』っていうのはすごい言われました。去年1軍で2登板して、その結果を見てくれてて『来年はもっと頑張ってね』っていう声がすごいあって。もっと頑張らないといけないなと思いました」

 井川「まずは今年は勝つことだよね、一つね。そしたら(もっと)いけるよ」

 -札幌のオープン戦で登板予定。地元凱旋は楽しみ?

 門別「投げられたら、いろんなお世話になった人たちに見せられるので、そこは見せたいなっていう気持ちはすごくあります」

 井川「札幌ドームで投げたことは?」

 門別「マウンドからはないですね。小学校の時だったので、手前から」

 井川「じゃあ楽しみだね。ご家族も来ると思うしね」

 門別「そうですね、はい」

 井川「どんなピッチングを?どんなピッチングをってそりゃ抑えるだけだよね(笑)」

 門別「はい(笑)」

 ◆門別 啓人(もんべつ・けいと)2004年7月10日生まれ、19歳。北海道出身。183センチ、86キロ。左投げ左打ち。投手。東海大札幌から22年度ドラフト2位で阪神入団。23年は9月15日・広島戦(マツダ)で1軍デビューして救援で3回3失点。同30日の同戦(マツダ)でプロ初先発し5回無失点も初勝利ならず。ウエスタンは12試合で2勝2敗2S、防御率2・78。素材の高さなどから注目度の高い左腕。好きな食べ物はいちご。嫌いな食べ物はレーズン。

 ◆井川 慶(いがわ・けい)1979年7月13日生まれ、44歳。茨城県出身。現役時代は左投げ左打ちの投手。水戸商から97年度ドラフト2位で阪神入団。06年オフにポスティングシステムでヤンキースへ。12年にオリックスでNPB復帰。15年退団後、17年に独立リーグのBFL兵庫でプレーし同年オフ退団。NPBでは最高勝率、最優秀防御率、最多勝、MVP、ベストナイン、沢村賞(いずれも03年)。最多奪三振3回(02・04・06年)。

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