【佐藤義則氏の眼】阪神・中野は悪循環 強い打球いらない スイングに効率を

 「オープン戦、ソフトバンク4-0阪神」(20日、ペイペイドーム)

 完敗を喫した阪神。29日に迫る開幕を前に、中野拓夢内野手は30打席連続無安打となった。19日は5三振、この日は4打席すべてフライアウトに終わっている。デイリースポーツ評論家・佐藤義則氏が極度の不振に苦しむ理由を分析した。

  ◇  ◇

 中野の不振が目立っているが、これに触れる前に“そもそも論”を再確認しておきたい。

 キャンプ前だったか、森下が今季の目標の一つに「20本塁打」を掲げたことがあり、大いに違和感を持った。というのも20本塁打を結果的に打つ選手と、狙って打てる選手とでは全く違うからだ。

 結果的に20本打てる、いわゆるホームランバッターは打ち損じても柵越えすることがある。では森下はどうかというと、詰まっても柵越えするパワーはない。いわゆる中距離打者だ。であれば、ミートに徹する中でうまくタイミングが合えばホームランという考え方をするべきで、本塁打数を目標に置くことは危険だ。

 では、中野はどうか。前日は5三振。この日は4打席すべて、フライアウト。前日よりも、この日の内容に不振の原因が集約されている。結局、強い打球を欲しがって、バックスイング含めてスイング全体が大きくなり、差し込まれてポップフライという悪循環だ。

 自身は「首位打者」を目標にしていると聞く。であるならスイングに効率を求めるべき。

 あのイチローも、練習では楽々柵越えできる力を持ちながら、自身が求められ、求めるところは打率と割り切った上で、試合ではミート中心のコンパクトなバッティングに徹していた。三遊間へのボテボテの内野安打でもOK。中野にはその発想から目指すべきバッティングを追求していってほしい。

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