阪神・伊藤将 今季初先発初勝利の陰に“師匠”も感心する成長ぶりとは チームの主力としての自覚
「阪神5-2DeNA」(3日、京セラドーム大阪)
阪神先発の伊藤将司投手(27)は7回を投げて5安打2失点、今季初先発で初勝利を挙げた。
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プロ4年目へ、伊藤将は自覚と覚悟を持ってオフ期間も過ごしてきた。1月の17日間、福岡県内で行われた岩貞らとの自主トレに2年連続で参加。元ソフトバンクの守護神で、現在はトレーナーの馬原孝浩氏から初めて直接指導を受け、「ウエートに対して、どこを意識してやるのかを知れたので、勉強になりました」と知識も広げた。
昨季10勝を挙げ、リーグ優勝、日本一に貢献した左腕。「去年もやって成績もよかったので」と昨年に引き続きウエートトレーニングで注力したのは上半身だ。球速アップに加え、もう一つの狙いは「けがをしない」ことだった。
昨季は左肩の違和感で開幕に間に合わなかった。「去年は開幕からいられなかったので、このスタートが一番大事だと思う。去年と同じ事を繰り返さないようにしたい」。その思いを胸に己と向き合ってきた。「上げる人は上げるので恥ずかしい…ちょっと上がるようになりました」と数字は明かさなかったが、昨年より持ち上げられる重量も増えた。
変化が表れたのはトレーニング面だけではない。“師匠”の岩貞は「ご飯の時とか野球の話になることが多くて。そこで配球とか調整法とか、将司が結構考えてやってるっていうのは今年気づけたところ」と明かす。今年の自主トレには、後輩の岩田や独立リーグの選手らも参加。伊藤将には先輩らしさが垣間見えたという。
「去年は、将司に対して俺が聞かれたことを答えるばかりだった。今回はあいつも聞かれる立場になって、俺ら2人が違う角度から話して。そういう考え方もあるんだなって思えたりした」
クイックモーションについて質問が飛んだ時には、岩貞が伊藤将に話を振ると、いくつものパターンや場面別の使い方を細かく説明。「考えていないとああいう成績出ないんだろなって」と“師匠”も感心する成長ぶりだった。普段はふわふわしていて、みんなにかわいがられる性格は変わらないという。ただその中でもたしかに、チームの主力としての自覚が芽生えていた。(デイリースポーツ阪神担当・山村菜々子)