阪神・前川 5番抜てきに応えた!マルチ安打で打率4割「数字残せるよう準備」 右腕ズラリ、ヤクルト戦も任せろ
「阪神2-3DeNA」(4日、京セラドーム大阪)
地元開幕カードで負け越し、2カード連続負け越しとなった岡田阪神。だが、今季初めて5番で起用された前川右京外野手(21)が四回に先制点を導く二塁打を放ち、1点を追った八回には、2死からの左前打で食らい付いた。チーム唯一のマルチ安打で打率は4割。右投手3人の先発が予想されるヤクルト戦でも打ちまくる。
敗戦の中でも“代役”の存在が輝いた。前川が3試合ぶりのスタメン出場。それだけでなくクリーンアップにも抜擢(てき)された。不振の佐藤輝に代わり、23年6月13日・オリックス戦(甲子園)以来の5番起用。それでも“いつも通り”を貫いた。
「気持ちの変化?いや、全然変わらないです」
二回の第1打席では中川颯の134キロ直球が背中を直撃した。苦悶(くもん)の表情を浮かべながらも一塁に歩いてプレーを続行し、第2打席では本領を発揮した。
四回1死。カウント1-0から「ちゃんと狙い球を絞って入った」と右腕の外角低め直球をすくい上げるように振り抜き、左中間へ。悠々と二塁に到達し、チャンスメーク。ベース上で大きく手をたたいた。この一打を口火に打線がつながり、先制のホームイン。早速5番としての役割を果たした。
これだけでは終わらない。1点を追う八回2死では、森原に2球で追い込まれたが、3球目の高めに浮いた152キロ直球を逃さなかった。三遊間への打球はダイビングキャッチを試みた三塁・宮崎の横をすり抜け、左前へ。この一打で今季初、そして23年6月30日・巨人戦(東京ド)以来のマルチ安打を記録。「次にもつながると思う」と納得の表情を浮かべた。
チームの中軸として起用されるほど、岡田監督から寄せられる期待は大きい。それでも前川は「別に普通にやるだけだと思う」と平常心を強調する。ここまでは出場5試合で10打数4安打の打率・400を記録。代打を含めた与えられたチャンスで結果を残している。
5日からは神宮に場所を移し、ヤクルト戦に挑む。相手はサイスニード、吉村、ヤフーレと全戦で右腕先発が見込まれるだけに、前川起用の可能性は高い。最下位に沈むチームを奮起させるためにも、前川に期待がかかる。
「本当に活躍できるっていうか、数字残せるように準備していきたい」。前川は「準備」という言葉を4回も発した。結果を残しても決して慢心はない。その姿勢の表れだ。一日一日まっさらな心で、いつも通り臨むだけ。“代役”とは言わせない活躍をする。