阪神・佐藤輝明は進化しているか-打撃の名伯楽、内田順三氏が新打法の現状を分析 「正三角形を意識したら脆さもなくなってくる」
阪神・佐藤輝明外野手は進化しているか-。開幕から9試合で打率・147と課題の「粗さ」は目立つものの、前カードのヤクルト2連戦では2本の決勝弾も放った。プロ4年目を迎え、オフから安定感を求めて着手してきた新打法。打撃の名伯楽、内田順三氏(デイリースポーツウェブ評論家)が、現状を分析する。
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オフにアメリカに行ってフォームを解析し、キャンプで取り組んでいることも映像で見た。上体スイングではなく、下半身の軸を使って打とうとしていて、以前より足の上げ方も柔らかく小さくなった。取り組む方向性は間違っていない。大谷もメジャーに行って「ヒールアップ ヒールダウン」のタイミングの取り方をしているが、佐藤もパワーがあるので、いずれそういう形にしてもいいかもしれない。
ここまで開幕から本塁打を打った打席、凡退した打席もいくつか見たが、まだ下半身と連動したスイングにはなっていないね。下半身の動きで言うと、軸回転の意識はいいけど、少し後ろに残りすぎているところもある。ステップした時に1回は前(右足)に入れるイメージを作ったほうがいい。下半身の形を指導する際、「人」の文字を作って打ちなさいと伝えるんだけど、佐藤も正三角形を意識したら脆さもなくなってくるんじゃないかな。
上半身の動きでは、体を前傾にして構え、左肩を下げながらアッパーブローで打とうとしているが、少し上体がかぶり過ぎているし、引っ張りにも入っているからゴロも多くなる。7日のヤクルト戦、八回のファーストゴロはまさにそうで、あの一球は打球が上がっていなければいけない。
今はツボにはまれば大きいのが出るが、まだ打つポイントが「点」に近いよね。かつての落合を例に挙げると、インサイドでも逆方向に持っていけるような、スイングの「幅」があったでしょう。佐藤も「点」ではなく「線」になってくると、求めている安定感が出てくる。
いずれにしても、本人は試行錯誤しながらやっているようだし、打席を重ねていけば何かをつかむと思う。入団から3年連続20本以上打ちながら、新しいフォームにチャレンジする姿勢は素晴らしい。打撃において、スピード、正確性、再現性の3つが大事な要素になる。佐藤の場合、正確性と再現性を上げていくことができれば、打率・280、30本は十分に狙えると思う。