阪神・植田が“神走塁”連発! 脇役光った執念ドロー 糸原「植田がよく走ってくれた」

 7回、代打・糸原の右犠飛で同点の生還を果たす三走の植田。右は捕手・岸田(撮影・中田匡峻) 
 7回、木浪の投ゴロで二走の植田は挟まれるも、逃げ切り三塁に進塁
 植田は木浪の打球で二、三塁間に挟まれるも、タッチをかわし進塁
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 「阪神1-1巨人」(16日、甲子園球場)

 阪神が脇役陣の奮闘で執念のドローに持ち込んだ。0-1の七回、代走の植田海内野手(27)が“神走塁”を連発。代打・糸原健斗内野手(31)の犠飛で同点ホームに滑り込んだ。今季初となる甲子園での伝統の一戦は、豪雨により十回コールドゲームとなったが、敗戦を阻止した“スーパーサブ”の価値あるプレーに虎党が沸いた。

 一塁ベンチの選手が両腕を広げ、スタンドからは地鳴りのような歓声が響く。得点力不足で苦しむチームを救う神走塁。植田が今季初となる甲子園での伝統の一戦で、4万2580人の視線を独占した。

 0-1で迎えた七回だった。左前打を放った先頭・ノイジーの代走で出場し、坂本のスリーバントで二塁へ。ただ、続く木浪の投ゴロで飛び出してしまい、二塁と三塁間に挟まれてしまう。

 それでも最低限の役割を果たすために粘った。「(打者走者の)木浪さんが二塁に行くまではという感じで走っていた」。山崎伊-坂本-吉川-坂本と転送される間も逃げ続け、三塁手前で坂本のタッチをかいくぐってセーフに。藤本三塁ベースコーチは「飛び出してしまったけど、しっかり粘ってくれた」。ミスをカバーする“神回避”で、1死二、三塁と好機を拡大させた。

 三走でも足で魅せた。代打・糸原の場面で、サインはボールとバットが当たった瞬間に走り出す「ギャンブルスタート」。そのため糸原が右中間寄りの浅いライナーを打ち上げた直後、植田は少し飛び出していた。

 しかし、捕球と同時のタイミングで三塁まで戻ってタッチアップ。一気に加速するとヘッドスライディングで本塁へ。両手で飛び込もうとしたが、地面に手が着くタイミングで捕手に近い左手を引いた。「タッチされると思ったので」。とっさの判断で、右手だけで本塁をタッチした。阿部監督のリクエストでも判定は覆らず同点。好投した村上の黒星も消した。

 糸原は「植田がよく走ってくれた。感謝しています」と話せば、藤本コーチは「ギャンブルのスタートをして、よく戻った。タッチアップの(できる)タイミングまで戻ってくれたことがありがたかった。かなり外野が前だったから。(右手の本塁タッチは)本能でしょう」と称賛。スピード、状況判断、技術。全てがそろって生まれた神走塁だった。

 九回終了後の豪雨と雷で試合はコールドで引き分けに。植田は自ら九回無死一塁でのスリーバント失敗を挙げて「切り替えて頑張ります」と反省した。それでも波に乗り切れないチーム状況を考えれば、敗戦を阻止した好走塁の価値は計り知れない。

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