阪神・近本 甲子園1年ぶりが逆転V弾「見に来てくれた子どもの記憶に残ればいいな」 黄金週間絶好スタート

 「阪神5-4ヤクルト」(27日、甲子園球場)

 ゴールデンウイーク初日の甲子園が子どもたちの大歓声に包まれた。阪神・近本光司外野手(29)が五回に逆転の3号2ラン。勝利を引き寄せる一撃を右翼席に運んだ。「ゴールデンウィーク こどもまつり」として開催されている今カード。頼れる1番打者の2安打2打点の活躍でチームも連敗を阻止。貯金上積みを目指す黄金週間で絶好のスタートを切った。

 打たねばならないところで打つ。これがこの男の真骨頂。甲高い打球音と割れんばかりの大歓声が白球の行方を告げた。逆転の3号2ラン。近本は悠然とダイヤモンドを一周し、勝利への道先案内人となった。

 「今日、見に来てくれた子どもの記憶に残ればいいなと思うので。自分のできることはできたと思う。楽しい試合やったなって思ってくれたらうれしい」

 試合をひっくり返したのは、1点を追う五回だった。1死二塁の好機で迎えた第3打席。ヤクルト先発のサイスニードに遅い変化球を3球続けられ、カウント1-2と追い込まれた。「それしか狙ってなかった」と、4球目の高めに浮いた150キロ直球を強振。完璧に捉えた打球は虎党の待つ右翼席に突き刺さった。

 豪快な逆転2ラン。「この時期はあまり浜風も強くないので。だからちょうど1年前だったのかな」と、聖地では昨年4月27日の巨人戦以来となる一発となった。

 「ゴールデンウィーク こどもまつり」として開催されている今カード。大型連休の初日ということもあり、スタンドには多くの子どもたちが訪れた。2人の娘の父でもある近本。勝利を届けるために奮闘した。1点差に迫られた七回には1死から中前打で出塁。森下の適時打へとつなげ、貴重な追加点を奪った。

 もちろん勝敗は大事だが、自身の経験から記憶に残るプレーも心がける。子ども時代に甲子園で初めて見た試合は阪神-巨人。レフトポール際で観戦し、アリアスがバックスクリーンに本塁打を放った。「鮮明に覚えています。『これがプロ野球選手か』と思いました」と目の前の豪弾に衝撃を受けたと振り返る。

 子どもたちに見せた頼もしい姿で流れを呼び込み、連敗を阻止。チームは首位を死守した。大歓声の中、3勝目を手にした先発の大竹と上がったお立ち台で「きょうみたいなピリピリした試合はしたくないんですけど、僕らは。明日からもチーム全員で戦っていきますんで、応援のほどよろしくお願いします」と呼びかけた。見に来てくれた人、声援を送ってくれる人のため、勝つために打つ。頂点を目指し、戦い抜くだけだ。

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