阪神・原口4番弾で奪首 打線組み替え大当たり 大山“代役”初回先制含む4打点「こういう時に勝てたことが一番」

 6回、3ランを放った原口は大山らナインとタッチを交わす(撮影・田中太一)
 6回、3ランを放つ原口
2枚

 「中日4-9阪神」(16日、バンテリンドーム)

 抜てきに最高の結果で応え、再奪首へ導いた。阪神・原口文仁内野手(32)が不振の大山に代わって6年ぶりの4番に座り、六回に1号3ラン。4番初アーチ&初打点を記録し、1試合4打点の大暴れを見せた。チームはドラ1の開幕クリーンアップを先発から外す岡田監督の打線組み替えが的中し、2カード連続勝ち越し。苦しい状況でも貯金5とし、勝率で巨人を上回って首位に浮上した。

 これまでの日々、支えてくれた人への感謝-。原口の気持ちが白球に乗った。代打ではなく、4番で描いた放物線。打球は虎党の待つ左翼スタンドへ。この上ない一発への大歓声の中でも原口は冷静だった。

 「出た時に結果を残せるようにと思っていたので、それがホームランにたまたまなっただけ」

 打撃不振の大山がスタメン落ちし、18年6月1日・西武戦以来、2176日ぶりとなる4番を任された。「昨年の日本シリーズで、指名打者で立った時の方が緊張感があった」といい、「普段通り」を意識した。

 4点リードの六回1死一、二塁。カウント2-0から根尾の146キロ直球を強振。これがプロ初の4番での一発となる3ランに。「自分のスイングをしようと打った結果」とうなずいた。初回1死二、三塁は三塁へ強烈なゴロを放って先制点をたたき出した。4番初打点を含む4打点。指揮官の起用に応えた。

 1月23日には大きな節目を迎えた。19年1月に大腸がんであることを公表し、手術。目安と言われる5年が経過し、ついに「完治」となった。「その当時5年って考えた時、『32歳くらいか。すげえ先だな』と思ったんですけど、たってみたらあっという間。でもすごく昔のようにも感じる」。しみじみとこの5年を思い返した。

 治療、リハビリを経て復帰を果たした。「元気に野球やれてるのが一番。当たり前が当たり前じゃないっていうのはすごく気付けたので、本当に大きな出来事だった」。平穏な毎日を過ごせる喜び、そして野球をできる喜びを実感。「支えてくださった方たちのおかげです」。完治を祝われると、何よりも周囲への感謝を口にした。

 原口の元には病と闘う子どもたちから手紙が届くことがある。「返信用の色紙とか入っていたら絶対返信するようにしてます」。届いた色紙には必ずサインをして返信。「ランディ・メッセンジャーに教わったから、これも仕事だって」。かつてのチームメートからの教えでもあった。「病気の人たち、その家族に1軍で活躍している姿を届けられたら」。誰かの希望になれるように-。そんな思いを胸に毎日努力を重ねてきた。この日の活躍も多くの人に勇気を与えたはずだ。

 チームは連勝し、首位に返り咲いた。「こういう時に勝てたことが一番。勢いがつく勝ち方ができてまた明日につながると思います」。冷静な言葉にも仕事人の熱い思いが込められていた。

野球スコア速報

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス