【藤田平氏の眼】工夫がない、考えてないようにも見える阪神打線 バット振り回すことを積極性とは言わない
「ロッテ3-2阪神」(1日、ZOZOマリンスタジアム)
阪神は近本光司外野手(29)をプロ初の4番に据える大幅な打線組み替えを敢行したが、押し出し死球と犠飛による2得点だった。阪神元監督の藤田平氏は各打者に「工夫がない」とバッサリだ。
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工夫がない。考えてないようにも見える。3番・糸原、4番・近本などの打順に異議はない。この2人が相手投手にタイミングが取れている数少ないバッターだからだ。問題は、その他の打者に工夫が見られない点だ。
バットを振り回すことを積極性とは言わない。まず延長十回1死一、二塁から代打で出場した森下。初球を空振りするなどしてカウント1-1となり遊ゴロ併殺に倒れた。果敢に攻める姿勢は持ち味でなくしてほしくない。ただ、早いカウント時は打てる可能性の高いボールをマークするなど考えて打席に臨まなければならない。
そして延長十一回2死二塁での熊谷。高めのボールで三邪飛だった。長距離打者ではないのだ。足の速さが武器で打球を転がすなどした方がいい。簡単に打ち上げては相手を楽にする。7番に打順を下げた大山はボールに押されている。
以前から触れているが打撃は第一にタイミングなのだ。いくら良いフォームでも、アジャストしなければヒットは打てないし、バットにボールは当たらない。
ネクストバッターズサークルでタイミングを計ることはもちろんだが、バットを短く持つ、ポイントを前に置く、始動を早くするなど各打者が自分に合う対応策を練ることが大事。また、打てないなりに工夫を施さないと相手を攻略できない。
ロッテの各打者は状況に応じてバットを短く持ち、際どいボールをファウルにしながらカウントを作り、阪神バッテリーを苦しめようとしてきた。どうすればタイミングが合うか。何をすれば相手が嫌がるか。おのおのが考える必要がある。(デイリースポーツ評論家)