セーブ失敗が続く阪神ダブル守護神「打線が今のままでは投手陣がパンクする」佐藤義則氏が指摘
阪神の“ダブルストッパー”が安定感を欠いている。5月26日の巨人戦(甲子園)でハビー・ゲラ投手(26)が1点リードの九回、同点弾を浴び、延長十回に岩崎優投手(32)が勝ち越し点を奪われた。同31日のロッテ戦(ゾゾ)はゲラがセーブ失敗、6月1日の同戦でも岩崎がリードを守り切れず、ともに延長戦でチームは敗れた。デイリースポーツ評論家の佐藤義則氏が“ザキゲラ”低調の要因を語った。
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最近のゲラを見ているとマウンド上で自信なさそうに投げている。気持ちが引いてしまって攻めていく姿勢が伝わってこない。「打たれたくない」という意識が強すぎるのか、球を置きにいくので腕の振りが緩んで球威も欠いている。球速は150キロ以上出ていても、打者からすれば数字ほどのスピードは感じていないのではないか。腕が振れていない分、変化球も決まらず、ボール球も見極められてしまう。
160キロ近いストレートとキレのある2種類のスライダー。素晴らしいボールを持っており、そう簡単に打たれる投手ではない。自分の球を信じて「打てるものなら打ってみろ」というぐらいの気持ちで開き直って投げられればいいのだが。
岩崎は球のキレで勝負するタイプ。調子がいい時はストライク先行でどんどん相手を押し込んでいくが、コントロールに不安があり、ボールが先行すると苦しい投球になってしまう。いい時に比べると球の勢いも落ちてきている。最近は無失点と失点の登板が交互に続いており、安定感を欠いている。経験のある投手だけに、なんとか修正していってもらいたい。
開幕からフル回転で勝ちパターンを担ってきたダブルストッパーだが、長いシーズン、いずれは調子を落とす時が来るのはベンチも折り込み済みのはず。ただ、2人そろってセーブ失敗が続くと、やはりチームに与えるダメージは大きい。
今季は打線が低調で点が取れないため、僅差で終盤を迎えるケースが多い。2、3点のリードがあれば多少は余裕を持ってマウンドに上がることができるが、1点差の展開も多く、重圧のかかる登板が続いている。登板数もゲラは25試合(リーグ3位)、岩崎も24試合(同4位)と増えており、相当な負担がかかっているのは間違いない。
先発陣にも同様のことがいえる。打線が反発力を欠いている分、とにかく先に相手に点を与えてはいけないというプレッシャーが大きく、点を取られても、なるべく最少失点に抑えておかないとなかなか勝てない。そして、そういうプレッシャーがさらに投球を苦しくさせる。裏返せば、そんな厳しい状況の中で「1-0」の完封勝ちを2度もやってのけた才木は見事というほかない。
ここまで防御率リーグ1位の投手陣の踏ん張りで上位争いに踏みとどまっている阪神だが、とにかく打線をなんとかしないと、今のままでは、いずれ投手陣がパンクしてしまうだろう。ダブルストッパーの乱調はその予兆ともいえる。
近本が4番を打つ打線もどうかと思うが、近本以外に打っている打者が見当たらないのだがら、彼に走者をかえす役割を期待するしかないということだろう。走者が出れば、とにかく得点圏に進めてコツコツと点を取っていくしかない。今後も優勝争いに踏み止まるカギは一にも二にも攻撃陣の奮起にかかっている。