阪神・才木 口にした目標をかなえてきた男が描く「日本一のエース」になる未来
「阪神3-0西武」(9日、甲子園球場)
サンデー才木は頼りになる。阪神・才木浩人投手(25)が八回1死まで無安打無得点投球。惜しくも偉業達成は逃したが、8回1安打無失点の快投で両リーグトップの7勝目。62奪三振、3完投、3完封を合わせて投手4冠となり、交流戦では昨年から38イニング連続無失点という無双状態。チームは交流戦初の3連勝で2位に浮上した。
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才木は口にした目標をかなえてきた男だ。夢を実現させるためにはどんな努力も惜しまない。無名だった須磨翔風高時代から、その信念は変わらない。
王塚台中の軟式野球部出身で入学時は並の投手。下級生の頃は到底プロ入りも見えていない立場ではあったが、当時から壮大な夢を語っていた。将来の目標を半紙に書く際には、迷うことなく「日本一のエース」と力強く記した。まだエースではなかった頃にも進路調査表にプロ入りと記入。「絶対プロ行くで」と何度も言葉にして実現した。
プロ入り後は2020年に右肘トミー・ジョン手術を受けて育成契約。リハビリ中も未来のビジョンは明確に描いた。2021年のオフには「2、3年後にはしっかり(先発)ローテで回っていたい」ときっぱり。2022年に支配下に復帰して復活星を挙げ、昨年は18年ぶりのリーグ優勝に貢献。そして今年の活躍と、挫折を味わった後にも想像していた通りに一流への階段を上っている。
プロ7年目を終えた昨オフ。才木が思う日本一のエース像は、元オリックスで今季からドジャースに加入した山本由伸だった。「全部の球が一級品でほんまにすごい」。オリックスで3年連続15勝以上を挙げて海を渡った、同じ1998年生まれの右腕の数字が才木の目指す指標となっていた。
入団時に口にした虎のエースとなる目標はもうすぐ目の前。日本のエースとなる未来も、そう遠くない。(デイリースポーツ前阪神担当・北村孝紀)