阪神・伊藤将の“源”「しんでん」のトマト担々麺 「中毒性ある(笑)」大学時代に週4、5日食べた大好物

 店主の野澤さん(左)と従業員の平野さん
 トマト担々麺
 試合に向け調整する伊藤将(撮影・山口登)
3枚

 虎戦士の幼少期や学生時代の思い出の味を取り上げる新企画「虎戦士の強~い味方」。第1回は伊藤将司投手(28)が国際武道大時代に通った、千葉県勝浦市にある「お食事処 しんでん」の名物「トマト担々麺」。今でも年末には必ず訪れ、“大好物”を食べて帰るという。店主の野澤正子さん(72)が左腕のエピソードや素顔を明かし、エールを送った。

  ◇  ◇

 勝浦駅から車で3分。大多喜街道沿いに「担々麺」ののぼりが揺れる。のれんをくぐると、座敷の店内はどこかほっとする雰囲気。ここが伊藤将の“第2の実家”「お食事処 しんでん」だ。

 国際武道大の野球部グラウンドからは車で6分ほど。伊藤将は大学1年の時、先輩に連れられて初めて訪れた。最初はつけ麺を食べていたが、野澤さんが「担々麺にトマトを合わせたらおいしいんじゃないか」と「トマト担々麺」を新たに開発してからは、すぐそのとりこに。「どハマりして。週4、5日行ってました」と笑って明かした。

 「トマト担々麺」はほどよい辛さにトマトの酸味、チーズのまろやかさが絶妙にマッチ。ひき肉とタマネギがたっぷり入っていて、食べ応えも十分。「中毒性あるので(笑)」と伊藤将はその魅力を表現する。1玉自体も一般的なラーメン屋より多めだが、学生サイズは1・5玉。さらに通常は1100円だが、学生には800円で提供している。「もうけを考えようと思ってない。学生たちはひ孫みたいなもん。かわいいから」と野澤さんは話す。

 プラスでご飯小盛りを食べるのが定番だったが「たまにワンコインとかで食べさせてもらったりしてました」とも明かした。現在は昼のみだが、居酒屋として夜営業をしている時もあった。「昼と夜行くこともありました。一日2回トマト担々麺食べてました。全然飽きないです。3食トマト担々麺でいいくらいです(笑)」。今では甲子園の選手メニューとして出すほど。まさに“ぞっこん”だ。

 同学年で、現在は日立製作所に所属する青野善行さんと来ることが多かった。野澤さんは「将司は目立たなくておとなしい子だった。『おばちゃーん』と言って来てくれる学生のうちの一人」と振り返る。2年からチームのエースとして活躍していた左腕。野球にあまり興味がない野澤さんは、そのことを人から教えられ「え、あんたなの!?」と驚いたという。「エースでも全然えらそうにしなかった」という人柄は今でも変わらない。

 プロ入り後も「おばちゃんが元気かどうかも見たいし、トマト担々麺も食べたいし、年1で帰ってます」と毎年年末は必ず店に顔を出す。学生の時と同じように「おばちゃーん!」と連絡なしに突然来店。「いつも驚かされます」と野澤さんはうれしそうに話した。

 昨季は10勝でリーグ優勝と日本一に貢献したが、そんな話も一切しない。大学時代の仲間たち何人かで来ると今でも「よっしゃー!じゃんけん!」と言ってお代をかけて大盛り上がり。「1億6000万(推定年俸)もらってるのにじゃんけんかよって(笑)優勝してもえらぶったりしないし、飾らない。学生の時のまんまなんです」と野澤さんは笑う。

 店内にはプロ1年目のオフにプレゼントしてくれたという背番号27のサイン入りユニホームや写真、サインボールなどが飾られている。ファンが持ってきてくれるカードやグッズもたくさん。すっかり伊藤将の“聖地”となっている。

 「本当に普通の子だったから、テレビに映ってるのが信じられない」と野澤さん。ただ、「ハラハラして見られない」と登板試合の中継を見ることはほぼない。普段も「悪いから」とあえて連絡はしないが、「毎朝、将司の活躍をお祈りしてるんです」と明かす。今季は2軍での再調整も経験した左腕に「まだまだ頑張ってほしい。なんとか今年も10勝してくれたら」と期待を寄せた。

 「しんでん」、そして野澤さんについて伊藤将も「大学時代の体を作ってくれたところ。本当におばあちゃんみたいな存在でした」と感謝の思いを明かした。「おばちゃんが元気でいてくれたら。自分が活躍して頑張ってるところを見てもらえたらいいなと思います」。おばちゃんの思いと「トマト担々麺」を原動力に、今年も雄姿を届けていく。

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