自分と向き合い続けた“孤独トレ”が阪神・前川右京の礎

 1回、先制の満塁本塁打を放つ前川(撮影・立川洋一郎)
 1回、先制の満塁本塁打を放ち満面の笑みで生還する前川(撮影・立川洋一郎)
 1回、先制の満塁本塁打を放つ前川(撮影・立川洋一郎)
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 「ソフトバンク1-4阪神」(16日、みずほペイペイドーム)

 阪神が連敗を2で止め、再び貯金1とした。前川右京外野手(21)が初回にプロ初の満塁アーチで勝利に貢献。今季は開幕から全試合1軍に帯同。活躍の原点となった日々をデイリースポーツの記者が紹介する。

  ◇  ◇

 前川が選んだ“孤独の道”は間違っていなかった。故障に泣かされた昨年までから一転、今季は開幕から全試合1軍に帯同。冬の間に故郷で過ごした時間が礎となっている。

 他球団の選手と自主トレするケースが増えてきた昨今のオフシーズン。技術の向上にはうってつけの環境ではあるものの、前川は一人で三重県の実家に帰省した。「誰かとやる選択肢もあったんですけど、今の自分にはこっちが必要かなと思って」。当然、プロでやっていくための技も誰かから学びたかった。それでも、まずは故障との縁を断ち切るために体と向き合うことを決断した。

 実家の軽自動車に乗って一日をスタート。同県にある「みどりクリニック」でトレーニングした後、コンビニでチキンとプロテインを買って栄養補給。場所を変えて打ち込み、ウエートトレと一人で追い込み続けた。つかの間の帰省でも甘えは一切なし。孤独だったからこそ心も鍛えられた。

 昨季はバットを思いっきり振れない時期もあった。「僕ここで何してるんですかね」。鳴尾浜の日陰でしゃがみこみ、弱音をこぼすこともあった。満足に野球ができない苦しみを味わったからこそ、グラウンドに立てる喜びも人一倍。自分と向き合い続けた時間が活躍の原点となっている。(デイリースポーツ・北村孝紀)

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