阪神・岡田監督 森下に超異例の直接指導!自ら振って打って個別みっちり1時間「今のスイングじゃ絶対無理よ」
阪神の岡田彰布監督(66)が19日、甲子園で行われた全体練習で森下翔太外野手(23)を約1時間、直接指導した。グラウンドで選手を長時間、個別指導するのは異例中の異例。主軸として期待しながら低迷を脱しきれない若虎の、打撃改造に着手した。
晴れ渡った聖地で超異例の光景が繰り広げられた。岡田監督が、ティー打撃を始めようとした森下を三塁ベンチ前に呼び寄せた。平田ヘッドコーチと水口打撃コーチが傍らで見守る中で“岡田塾”が開講された。
「リスト(手首)も使うてないやんか。今のスイングじゃ絶対無理よ。はっきり言うたるけど」
直立不動の森下に対し、言い聞かせるように助言を授けた。指導は次第に熱を帯び、自ら素振りを実演するなど身ぶり手ぶりも交えた。バットのヘッドや手首の返し方、体の回転など同じ動作を何度も反復させた。
約40分が経過し、ようやくティー打撃に移ったが、そこでも付きっきりだった。虎将自らボールを5球打って“実技指導”も披露。フリー打撃でも森下の全33スイングに熱視線を送り、個別指導は約1時間に達した。
森下はオフの自主トレから「回旋打法」に取り組んできたが、指揮官は体が反り返るような打撃フォームに注文を付けてきた。西武戦前にも室内練習場で指導したことを明かしたが「ちょっと言うたくらいじゃ直らへん」と、本格的にメスを入れる決断を下した。
岡田監督がグラウンドで選手を直接指導するのは「監督になって初めてよ」と言うほど珍しい。
「一番、伸びしろがあるからな。これからの選手やん、まだ2年目やんか。今のうちにちゃんとした打ち方を覚えたら、ずっと長いことできるようになるわけやから。まず自分の形を作ることやんか」
森下の現在だけでなく、未来まで見据えた言葉に、指導者としての温かなまなざしがにじんだ。
今季64試合で打率・241、6本塁打、29打点にとどまっている森下は「期待して指導してくれていると思うので、素直に受け入れてやっていきたい」と迷いを振り切るように顔を上げた。
指導を終えた岡田監督は「(指導料)300万くらいやな。久しぶりに汗かいたわ。もうノックバットしか振れへんで」と白い歯をこぼした。虎将は誰よりも若虎の飛躍を願っている。
◆岡田監督の主な直接指導
22年11月15日 佐藤輝に対してボールを点でなく線で捉えるスイング軌道の重要性を説明。左手の使い方についても「ボクシングでも一番強いパンチは肩からのストレートやろ」と独特の表現で指導。
23年2月10日 ティー打撃中に高山俊(現・オイシックス)を直接指導。すくい上げる軌道だったスイングの修正を指示。
同年11月12日 秋季キャンプで小野寺を直接指導。身ぶり手ぶりを交えながら、手首を返す“リストターン打法”を伝授。
24年2月6日 春季キャンプで野手陣に走塁指導。三塁ベース付近に選手を集め、走者がリード時にラインから離れ過ぎているなどを指摘。